※※第39話:Make Love(&Gasp).5
キラキラと揺れる水面が、揺るぎなき愛を染み渡らせる。
ギュ―――…
プールのなかで、びしょびしょではあったが、熱くつよく、抱きしめあっていた。
「そーいや、おまえ、あのストールはどうしたんだ?」
薔がこう問いかけた、ストールとは、夕月が会場にてナナに巻きつけてくれたものである。
ナナは、彼と共に走り出した直後、それは外して、大切にバッグへと仕舞ったのでした。
「あの…、お隣が偶然にも、神様こと夕月さんでしたので、巻きつけてくださったんです…」
腕のなかで、答えるナナ。
「そうか、」
ギュッ
答えた直後、さらにつよく、薔はナナを抱きしめた。
「ほんとうに、あのおかたは、神様ですね、」
ナナもさらにつよく、抱きついて述べると、
「おまえは、よく、わかってんだな。」
耳もとで、ちょっとだけ、笑って薔は言ったのです。
よって、ナナの心臓というか、ハートは、きゅうと締め付けられたのでした。
ザバ―――――…
やがて、泳げないナナを抱いて、薔はプールサイドへと上がりました。
穏やかな雲が流れて、日差しは柔らかになっている。
ポタポタ……
隣り合わせで座っていると、したたり落ちる水滴が、タイルをじんわりと濡らしてゆく。
ちょっとだけ俯くナナの濡れた髪を、やはり濡れた手で、やさしく撫でる、薔。
落ち着いた雰囲気のなか、ナナのこころは張り裂けそうである。
「おまえ、黒い服で良かったな。」
ふっと、髪を撫でながら、薔が告げて。
「はい……?」
よくよく気づくと、ナナは黒いTシャツに白のミディアムパンツでした。
大人びたカッコなんだか、なんなんだか。
ですから、まぁ、下着は透けなかったんです。
(おおお!良かった!)
安堵したのも、束の間。
薔は、白シャツだった。
(おおおおおおおいっ!!)
真っ赤になる、ナナさんです。
「どーした?」
そんな彼女の髪を撫でつづけながら、覗き込むようにして問いかける薔ですがね、
「いや、あの、もう、ほんと困ります……」
赤面中のナナは、さらに俯いた。
「あ?」
「だから、見えちゃうんですよーっ!」
もはや、顔を覆って見たいくらいの、ナナ。
しばらく座っていると、さわやかな風に水はさらわれて。
ちょっとずつ乾いてもきたので、
「帰るか、」
「はい……、」
ふたりはそのまんま、帰ることにしたんです。
ナナの鞄に薔の携帯も入れて、ちゃんと持って帰りましたよ。
薔がね。
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