第38話:Game(is Over?).32






 …――そう、

 ほんとは、


 ずっと、好きだったんだ。








 ……朝です!


 と言っても、あんまり寝てませんけどね!



 「ん……?」
 なんだかほっぺたの辺りがくすぐったくて、ナナは目を覚ました。

 「おおっ?」

 花子の、ペロペロによる目覚ましです。


 「花子ちゃん、おはよう。」
 笑って花子を撫でようとしたのだが、



 (ぎゃあ――――――――っ!!)



 とてもではないが、動けなかった。




 (そう言えば、このひと、うえ、ハダカだよ!)

 ナナは真っ赤っかである。


 やっぱり上半身ハダカの薔は、ナナに抱きついて眠っていた。


 (もぉうっ!寝顔、とんでもなくかわいいし、いい匂いにもほどがあるよ!いつも!)

 しみじみと、想う、ナナさんです。



 (いや、しかし、今日は寝てもいられないんだよね?)
 と、言いますことで、

 「あの…、」

 薔を、やさしく、揺り起こしました。



 「ん…………」

 少しずつ瞳を開けて、彼は目を覚ました。




 「お、おはようございます…、」
 声を振り絞って朝の挨拶をした、絶賛赤面中のナナに、


 「おはよ、」


 薔は微笑みかけて、彼女の髪を撫でました。



 (かわいいんだってーっ!)
 ナナのしみじみ、再びです。



 すると、花子がベッドをぐるりとまわって、薔の頬をペロッとしました。


 「花子、おはよ、」

 後ろの花子へと顔を向けて、あたまをやさしく撫でている薔ですがね、


 (お願いですから、もうちょっと、毛布、うえまで掛けてください!!)


 赤面中のナナは、チラ見しながらこころで叫んだ。




 ちなみにこのとき、時刻は、朝8時をすこし過ぎた頃。


 「おまえ、なんか食うか?」
 毛布をうえに上げることもなく、ナナへと向き直った薔は問いかけました。

 「え、えーと、」
 そのまえに毛布上げるか服着てください!と、言いたいところなのだが、


 ぐぅ


 タイミング良すぎることに、ナナのお腹のなかで、腹ぺこの虫が鳴いた。


 (あわわわわわ!恥ずかしいよ!)
 もはや、顔を覆いたいくらいのナナに、

 「かわいいにも、ほどがあるな。」

 落ち着き払った薔が、はっきり言いました。




 「だから、あの、毛布ぅーっ!」
 「あ?」


 このやりとりだか、光景だかを、花子は始終、尻尾を振りながらつぶらな瞳で、眺めていたんだとさ。

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