第35話:Game(=Family).30





 「えええええ!?こんなに痩せた薔から血を飲むなんて、できっこないですよ!ちゃんと休んでください!」

 必死になる、ナナです。


 それでも、

 「おまえ、よく考えてみろよ、」

 言い聞かせるように、薔はつづけます。


 「普通に血、吸われてた時のが、俺は元気だったぞ?」


 とね。




 「えええーっ!?」

 よくよく考えてみると、確かにその通りではあった。




 心は鷲掴みしたまんま、すこしだけ薔は離れる。


 ス――――…


 そしてTシャツを肩から下ろしてゆくと、痩せたこともあってけっこうずり落ちた。


 「ほら、噛めよ。」

 骨ばって、細くなめらかな肩が、左側だけあわらになっている。


 「もっと、下がいいのか?」

 この問いかけに、堪らなくなったナナはゆっくりとかおを近づけた。



 チュ――――…

 ふるえるくちびるで、首もとへとキスをする。


 「あ…………」

 かすかな声を漏らした薔の、すべるような肌に、


 ガリッ―――――…


 牙を、突き立てた。



 「ふぅ……っ、」

 薔は枕へと顔をうずめて、牙が食い込んだそこからはドクドクと血が流れてゆく。



 「んんん………」
 久しぶりの血液で、しかもF・B・Dなため、ナナはかなりうっとりとむさぼった。



 「美味いか…?」

 ほどなくして、すこしかおをあげた薔がナナへと問いかけてきた。

 「うん…………」

 夢中で頷くナナのくちには、ちからがこもる。


 「は…っ、あ……」

 からだを反らした薔は、右手できつく枕を掴んで、左手を彼女の腰へとまわしていた。



 「あ…っ、あっ………」
 声をあげながら身震いをする薔のまえで、

 「んん―――――…っ!」

 何度か、ナナは達する。



 「ナナ…好きだよ……、もっと…あげる………」

 囁いた薔からは、赤く染まりゆくTシャツが先ほど以上に落ちていて、彼の胸元にも血は流れ、シーツにも枕にもところどころに血が飛びちっている。


 ナナは牙を引き抜くと、あふれ出す血液を吸いはじめた。


 「あああ…っ!」

 深く枕にかおを預ける薔の髪は、乱れきって、汗で濡れてゆく。



 「ぁ…あっ、ナナっ、激し…っ、」

 吸いながら舐めまわしているうちに、傷口は塞がってきた。

 「ん……んっ………」
 ナナは無我夢中で彼を抱きしめていて、

 「はあっ、はあ…ぁっ、」
 薔は熱く淫れた息をつづけている。



 「ん…っ、あ…!」

 そのうちに、激しくカラダを反らしたあと、


 「ああ…っ!」


 甘い声を振り絞った薔も、達せたようです。




 「ぁ……っ、あ………」
 ふるえながら、ぐったりしている彼は、

 「流れて…っ、から…、ぜんぶ…舐めろ……」

 うっすらと瞳を開いて、吐息混じりに囁きました。


 「ん……、」
 ナナは舌を大きく動かして、胸元まで流れていた血液を舐め落としてゆきます。

 「あ…っ、は…ぁっ……」

 ときどき、ぶるっとふるえて、薔は熱い息をあげていた。




 肌の血液はキレイになった頃、

 「んぅ――――…」

 けっこうイったこともあり、ナナは気を失うようにして深い眠りに就いた。


 「おやすみ、」

 その髪を撫でていた薔も、彼女を抱いたまま、すぐに同じ眠りへと堕ちていったのだった。

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