第3話:Game.1
悩むナナに向かって、薔は言った。
「要するに、だ。」
「なに?」
「お前は血を吸うだけで、俺とセックスができるってことだろ?」
………………でぇえ!?
「なんでわかったの!?省いたよ、その部分!」
「絶頂に導く、とは、そういうことだろーが。」
………ばか。
…………………わたしの、ばか……。
これじゃあ、捕まるわけだよ。
あっさりと…………。
「まあ、当然のことだな。」
落ち込むナナの前で、薔は堂々と言った。
「なら、交換条件だ。」
「はい?」
「飢えたらヤらせてやるから、お前は俺に従え。」
「なに言って………、」
「お前は俺だけの血を、求めてればいい。」
「こんなオイシイ話、ほかにはねーぞ?」
ぐっ
ナナは、拳を握るとともに、くちびるを噛みしめた。
「……わかった。」
「敬語。」
「………………わかりました。」
ナナが顔を上げると、薔は彼女を見下ろしていた。
「それでいい。」
何がいいんだ?お?
「安心しろ。お前が従いさえすれば、写真はバラまかねーよ。」
…………バラまくつもりだったのか!?コラ!!
言えない。
言いたいけど、言えない。
「お前、本当はいくつなんだ?」
「こっぱずかしくて、口が裂けても言えません。」
「ならいっそ、裂けてみるか?」
……………………ぎゃあ!?
「さ、387歳、です………!」
「とんでもねぇババァだな。」
………おおお(泣)
わかってるよ?わかってるけど、いざ言われてみると、やっぱりヘコむよ?
「ま、いいんじゃねーのか?」
このとき薔は、意外なセリフを付け足した。
のちになれば、とても意味深い言葉だったのだが。
「“亀の甲より年の功”、と言いてぇとこだが、お前あんま尊べねーしな。」
……………かめ?
「か、かめがなんですか?こうらのことですか?年となにか関係があるんですか?」
「お前、どうやら“ことわざ辞典”も必要のようだな。」
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