第35話:Game(=Family).30





 「んん……っ、」

 かなり深くに舌を押し入れてから、ゆっくりと抜いた。


 「はぁ……っ、はぁっ………」

 火照り、肩を揺らしているナナは、熱い息を吐いていて、

 「はぁ―――――…」

 瞳を閉じ、深く息をした薔は、伸ばした手を彼女の手へと重ねていた。



 そのとき、

 シャラ――――…

 薔の首を、ネックレスが滑り落ちたのだ。



 彼はつけていてもまったく珍しくないので、ほんとうに何気なく、ナナはそこへと目をやった。




 煌めいて、映ったのは、



 “7”。




 (――――――――…)

 ナナはただ、ぼーっとしていた。



 この数字は、なにを意味して………?



 聞きたくても、聞けずにいると、

 「…ナナ?」

 うっすらと瞳を開けた薔が、手にちからを込めて彼女の名前を呼んだのだ。



 「どーした?」

 やさしく問いかける彼に、

 「なんでも、ないです。ただ、見とれて…、ました。」

 それもあるんだが、浮かんでいた質問を奥へとしまい込んで、ナナは笑う。

 「かわいい…、」

 静かに笑い返した薔のうえ、花子はすやすやと眠っているが、耳をピクピクとは時々させていた。



 「なぁ、ナナ…、」

 ふっと、重ねていた手をなめらかに撫でて、


 「今夜も、泊まってって、くんねーか?」


 囁きかけた、薔。




 「えっ?」
 ドキンとしすぎたナナは、ほの暗いなかで真っ赤になったのだが、
 「ダメか?」
 トーンなどはそのまんまで、薔は囁きかけをつづける。


 「安心しろ。ヤりてーからじゃ、ねぇよ。ただ、抱きしめて、眠りたいだけだ。」

 彼がさらにつづけたので、

 「えと、やるとか、わたしはむしろ嬉しいですし…、お泊まり、します、喜んで。」

 ナナはちゃんと、こう応えました。



 「よく、言ってくれたな。」
 クスッと笑った薔は、


 「ねぇ、ナナ…、」


 甘えた声で、ナナの手にゆびを絡めてきた。



 「もっと、キスして?」




 「…………っ!」
 ナナのなかには抑えきれない愛おしさがあふれ出して、彼女は言葉に詰まる。

 「キス…で、ガマン、するから……」
 薔は、つづける。



 「はやく……」

 誘われるのか、導かれるのか、ナナが顔を近づけてゆくと、

 触れあう直前、


 「さっきより、もっと、ずっと、激しいキス…、な…?」


 こう、薔は囁きかけて、気を利かせたのか花子は下のほうへ顔をずらせた。




 「ん…………」

 やわらかなくちびるがつぶれてしまいそうなほど、つよくくちびるを押し当てる。

 「は…っ、」
 開いたくちのなかへ、熱く舌を滑らせてから、

 ギュ――――…

 ナナは薔のあたまを、抱くように腕をまわした。


 「んん――――…っ、」

 そして舌は、くちのなかで絡まりあって、濡れた音を立てながら深みを増す。


 チュプッ…

 いったん舌を抜いたのだが、

 「ナナ……っ、」

 せつなく名前を呼んで、薔はナナへと両手を伸ばした。


 頬をやわらかく挟み込んで、

 「好き……、好きだ………」

 ふるえる声で告げると、


 「はっ………ん………」

 ひどくナナを近づけて、再びのキスがはじまった。



 溶けてしまいそうなほど、舌は濡れて絡みあって、舐めまわすようにかき乱す。


 「ん…っ、ん…、んぅ…っ、」

 しばらく、キスに夢中になって、溺れ堕ちていった。

[ 384/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る