※※第34話:Make Love….3





 「ん…、ん……っ、」

 かたいフローリングのうえだが、気にならないほどに熱くキスを交わしていた。

 「あぁ…、ナナ、好きだ……」

 やがて、薔をうえにして折り重なって、

 ちゅっ

 何度も、何度も、激しかったり優しかったりの、キスを繰り返した。




 そのうちに、

 「ここじゃ、痛てぇよな、」

 ゆっくりと、薔は起き上がる。


 「はぁ…………はぁ…っ……………」

 ナナはぼーっと火照って、彼を見上げている。



 「待ってろ。ベッドまで、連れてってやる。」

 そして妖しくだか優しくだか、微笑んだ薔に抱きかかえられて、


 ふたりは寝室へと、向かっていった。










 フワリ――――…

 そっとナナをベッドのうえに、おろした、薔。


 「あ、でも、お熱は、大丈夫、ですか?」
 我に返って、ナナは恐る恐る尋ねたが、

 「大丈夫だ。すこし、分けてやるよ。」

 つぎにベッドへと乗ってきて、薔は笑った。


 「えっ?いや、あの、ヴァンパイアは、熱出さないんです、すみません。」
 ナナはいつもによって、正直に言いますがね。


 「そうなのか?」

 特に驚く様子もなく、身をかがめた薔は、


 「なら、」


 左手を伸ばして、ゆびさきでナナの頬に触れた。



 「ここが、こんなにも熱いのは、どーしてだ?」





 「んんっ………」
 くすぐってビクッとしたナナの、

 「ここも、」

 くちびるへも、そっと、触れて、

 「ここ、も、」

 ゆびさきは、Tシャツのうえから胸元もなぞって、


 「中だって、すげぇ、熱いんだよ……」


 そのまま、吐息とともに抱きついた薔と、ナナは縺れ込むようにベッドに倒れていった。




 「はぁっ…………はぁっ………………」

 折り重なって、ひどく顔を近づけあって、熱い息を交わしている。


 「ナナ……、」

 体勢は変わらぬまま、薔は囁きかけた。


 「やさしくできる、自信…、ねーんだが、それでもいいか?」

 と。


 「まったく、構いませんよ、むしろ、激しくてもいいです。」

 それはほんとうにその通りで、ちゃんとナナは答えたんですけど。

 ゆっくりとからだを起こした薔は、

 フッ――…

 ふと、ひどくせつなげに微笑んで、その言葉を初めて口にした。




 「ごめんな?」





 「えっ………?」
 心臓を鷲掴みなんてものじゃ、ないのだが、

 「ごめん、」

 繰り返した薔は、ナナの耳もとへ顔をうずめた。




 ゆっくりと、その痩せた肩を抱きしめる。

 ふるえが、微かに、伝わりくる。


 そして、ナナは穏やかに告げた。



 「大丈夫です。薔はなにも、悪くないです。あなたは、とても、キレイ、なんです。」


 彼女は言葉の途中から、やわらかく、薔の髪を撫でていた。




 「ナナ……、」

 顔をあげた彼は泣きそうな顔をしていたが、

 「ずっと、そばにいて、愛してくれ。」

 涙ではなく、吐息とともに愛を零して、すっとナナのくちびるへ、キスを落とした。

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