※※第34話:Make Love….3





 「あの…、昨日は、ほんとうに、すみません…、でした……………」

 ゆびを絡めたまんま、ナナは振り絞って謝る。

 「悪りぃのは、俺だからな。気にすんな。」

 薔は声色を、やさしくして言った。


 「いや、そんなこと、ないですって、わたしが、ひどいこと、したんですって、」
 「たまにはおまえの怒った顔も、かわいいモンだぞ?」


 ……えええ!?


 「あと、お熱とかは、大丈夫なんですか!?」
 「あぁ、大したことねーよ、ただの微熱だ。」


 …ぇぇぇぇええ!?


 「なら、ちゃんとベッドで寝てないと、いけませんてーっ!」

 ナナは心配のあまり、声を張り上げた。


 しかし、薔は言った。



 「そばに、いたいんだ。」




 「え………?」

 ドキンとナナの手へと絡めたゆびには、ちからがこもる。

 「ダメか?」

 薔は瞳を細め、問いかけて、



 「ただ……そばに、いてぇよ………、ナナ……………」



 微かな声で、はっきりと告げた。






 気づくと花子は、気を利かせたようです。
 お部屋へと行って、つづきの眠りに就いたのでしょう。



 「いまは、話せねぇんだが、はやいとこ終わらせて、すべて、話すよ。」

 今度は声もはっきりとさせて、薔は、告げます。


 「そしたら、」

 やがて彼は、微笑んだ。



 「一緒に、暮らさねーか?」


 と。


 「えっ…?」
 ナナの心臓だかハートだか、鷲掴み状態である。

 「糧…、あると、ちからになんだよ。」
 離さないように、薔の言葉は紡がれてゆく。



 そしてナナは、ふるえる声で告げた。


 「えと、問題は、きっとないんで、喜んで……、」





 「よかった……、」
 嬉しそうに、薔は笑って、

 「なぁ、ナナ、」

 絡めたゆびでナナの手を握りしめ、囁いた。



 「名前、呼んでくれないか?」





 「え?薔の、お名前、ですか?」
 「いま、一回、呼んだな……、」

 改めて言われて、もじもじするナナに、

 「もっと……、」

 甘い囁きを、薔がつづけるので、


 「えと…、あの……、薔……?」

 ナナは声を振り絞る。




 「ん?」

 ゆっくり、熱く、ふたりは距離を縮めていって、




 「愛してるよ……、ナナ………」
 「わたしも、薔が、大好きなんですよぉ……」

 今度はちゃんと、ナナの返事を聞いてから、



 「ん……………」



 ふたりは、くちびるを、重ねたのだった。

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