※※第34話:Make Love….3





 「んんん……はらこた…、はら、すいふっ…と…、こりっは、り……、」

 ムニャムニャと、寝ぼけ眼で言ったナナのこの内容、訳すと、

 “花子ちゃん、また随分と、ご立派に、”

 でした。



 「んあぁ………?」

 そして彼女は、ぼんやりと目を覚ました。

 ペロッ

 なぜか、抱いて眠ったはずの花子は、うしろからナナの頬を舐めている。



 「あれ…………?」

 でも、なんか、あったかいんだが…………、

 ゆっくりと視線をまえに向けたナナは、



 「…―――――――――!?」



 びっくり仰天した。




 (でぇぇぇぇぇぇぇええっ!?)




 薔はナナに抱きついて、静かに深く眠っている。

 ちなみに彼は、黒い細身のタンクトップだけうえに着ており、したも細身のボトムスだった。


 白いシャツがナナにかけられているため、どうやらそれも着ていたようだったが。


 (えええ!?いつの間に!?)
 ナナは真っ赤になって、くちびるをふるわせており、

 (いや、どうりでめちゃくちゃいい匂いなわけだよ!)

 心臓はドキドキしまくっている。



 (ええ!?それより、怒ってらっしゃらないの!?)

 こう疑問を抱えた、ナナですがね、


 「んん………ナナ……………」

 ギュ―――――…

 さらに薔は、つよく抱きついた。



 (ぎゃあ―――――――っ!)


 ナナは大赤面だかして、こころで悶え叫ぶ。


 (おおおいっ!もう、かわいすぎて、ほんと困っちゃうよ!)

 抑えても、ふるえてしまうナナなのだが、

 (うううっ……!どうしよう、好きすぎるよぉ!)

 涙すら必死で抑え込み、ただ、やわらかな髪を撫でていた。





 (夢じゃ、ないんだね、)

 手のひらに当たるあたたかな感触が、例えかなしくても、素晴らしい現実を目の当たりにさせてくれる。

 (よかった、夢じゃなくて。そもそも、夢の中でこのひとに会えたとしても、現実のこのひとには敵いっこないし。)


 などと、想い巡らす、ナナ。




 …―――幸せ、だな。





 こころ穏やかに、ずっと、寄り添っていた。









 「ん……………」

 どのくらいそうしていたかは、感覚でもよくわからないのだが、やがて、薔は静かに目を覚ました。




 「あ、あの……、」

 なんだか、ナナは何かを言いかけたのだが、

 「…あぁ、おまえがあまりにもかわいく、眠ってたからな、つい、さわっちまったよ。」

 こう呟いて、薔は離れようとした。




 「こんなに痩せて、大丈夫ですか?」

 しかし、ナナは、その言葉が聞こえていなかったのか、彼の手首をそっと掴んで、ひどく心配そうに尋ねた。





 「おい、」


 ……………はっ!!


 「うぎゃあぁっ!すみません!あまりにも、心配で、つい、」

 とっさに引っ込めようとした、ナナの手に、

 キュ――――…

 ゆびを絡める、薔。




 「触れて、いいのか?」




 フローリングのうえ、横になって向かいあって、見つめあっていた。

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