※※第34話:Make Love….3







 「暑いよ。」

 やたら暑い、夏休み初日。

 午前10時を過ぎた頃。

 ナナは歩き慣れた道を、Tシャツにミニスカートという格好で、ひとり歩いており。



 「いやぁ、これだけ暑いと、花子ちゃんも大変だよ!急がなきゃ!」

 汗を流しながらも、足早に歩いていった。








 ――――――…

 「こんにちはぁ…、」

 ハンカチで汗を拭ってから、合い鍵を使ってなかへ入ると、

 「おおお!?」

 花子は嬉しそうに尻尾を振りながら、お出迎えしてくれた。


 「花子ちゃん!いい子だよ!」

 ドアをすぐに閉めてから、玄関先でナナは花子に抱きつく。


 ペロッ

 そんな彼女の頬を、花子はペロペロと舐める。


 「花子ちゃん、くすぐったいよ!」


 しかし、心地よかった。








 「うーん、クーラーって、とっても快適なんだね。」

 そう呟くナナは、リビングで花子をブラッシングしております。
 なにげに、花子についてのメモ書きみたいなものは、ちゃんとテーブルに用意されていた。



 花子はゆらゆら尻尾を振って、とっても、気持ちよさそうにしております。



 (良かった、もうぜんぜん、息苦しくないよ。)

 安心した、ナナは、

 「ねぇ、花子ちゃん、」

 花子に語りかけていた。


 「あなたのご主人さまは、今日、熱出したりは、してなかった?」




 花子は黙って、尻尾を振りつづけている。

 「怒って、なかったかな?」

 ナナも語りつづけてから、


 「そりゃ、怒ってるよね……、ひどいこと、しちゃったもんね……、」

 彼女はひどくせつなげに、笑った。




 すると花子は、振り向いて、


 「おおっ?」


 またまたナナのほっぺたを、ペロペロと舐めはじめた。


 「花子ちゃん、なんか、ありがとう。」

 抱きしめて、フワフワと撫でる、ナナ。




 あまりにも心地よいため、

 「うーん…、今頃になって、眠くなってきちゃったよ……、」

 ナナはぽーっとしてきてしまった。


 「どうしよ……、」

 ぼんやりと花子を見ると、心なしか彼女も、

 トロン

 とした目つきをしているように思えた。


 「花子ちゃんも、眠いの………?」

 こう言ったナナは、ゆっくりと立ち上がって、

 「よいしょ…、」

 指輪をはずしてから、テーブルを持ち上げて隅へと置いた。



 「ちょっと、かたいけど…、ここで、寝ようか………、」

 寝転んだナナは、再び指輪をはめる。

 優雅に歩み寄った花子も、ナナのとなりに寄り添った。


 「気持ち、いい……、」

 そのまんま、花子を抱くようにしてナナは眠りへと落ちていった。

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