第3話:Game.1




 ソロリソロリ、
 キョロキョロ、
 物音を立てず出入り口に向かい、廊下を見渡すナナ。

「おい、」

 今一番、声をかけられたくないひとの声。
 ひえぇえ…………!

「どこへ行くんだ?」

 隣の席ですもの、きちんと見てますよね?
「ト、トイレです!」

 ジッ。

 うう(泣)

「トイレなら、大丈夫、だよね!?」
「やたら早く行ってこい。」

 や、やったぁ…………!

「すぐ来る!」
 ナナは、勢いよく教室をあとにした。



『すぐ来る!』……なワケあるかボケェ―――――――っ!!


 案外チョロかったな。
 拍子抜けだわ。


 (まぁ、いっか、早く帰ろっと。)
 ナナは必死で走っていた。











 ナナが出ていったあとの、教室にて。

「なんかあのお方、楽しそうだね……………。」
「本当だ…………。ボクの見間違いでなければ、楽しそうだ…………………笑ってはないけど、おそろしく楽しそうだよ…………………。」
 誰もが、思った。

 (なんだかとてつもなく、こわいんですけど――――――…!!)




 薔は、余裕すぎた。


「逃げられるとでも思ってんのか?」


 そしてゆっくりと、立ち上がる。





「さて、行くか。」





 準備なんてとっくにできてんだよ。


 …………I'm ready.

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