第33話:Game(&Each…).29





 「おお!こんなとこ、はじめて来たよ!」

 やたらキョロキョロするナナは、こけしちゃんと雑貨屋さんにいた。

 ピンクが基調の、めちゃくちゃ女の子らしい雑貨屋さんで。


 「あのねぇぇ、ナナちゃぁん、こっちだよぉぉ。」

 ニコニコするこけしちゃんに手をひかれて、気づくとふたりはジュエリーコーナーに立っていた。




 「すごぉい、キレイだねぇ…、」
 なんだかナナは、キラキラな中で瞳をキラキラ輝かせている。

 「ナナちゃぁん、これぇ。」

 そのなかでこけしちゃんが指をさしたのは、アルファベットがモチーフになったアクセサリーのシリーズだった。
 となりには、数字がモチーフの同シリーズも、置いてある



 「なんですかな?こちらは、」

 ガラスケースのなかを、覗き込む、ナナ。


 「いまねぇ、女子の間で、すごぉく人気があるシリーズなのぉ。」

 一緒に覗き込んだこけしちゃんは、そう述べた。


 「そうなんだぁ。厳重にされてるわりには、お安いね。」
 そして感心するナナに、
 「それもあってねぇぇ、大人気なのぉぉ。」
 となりのこけしちゃんは、やさしく明かす。



 「いや、しかし、残念なことに“N”だけ売り切れてるね。」
 自分の名前がなくて、肩を落とすナナですがね、


 「ナナちゃぁんは、面白いことを言うのぉぉ。」

 こけしちゃんは、笑って言った。



 「“S”、ちゃあんと、あるよぉぉ?」



 と。




 「はい…………?」

 はじめは意味がわからず、キョトンとしたナナだが、

 「いろんな意味でねぇぇ、ナナちゃぁんの薔くぅんはぁ、Sだからぁ。」

 あまりにもニコニコと、こけしちゃんは微笑みかけたのだ。




 ……かぁあっ!

 よって、ナナは真っ赤になった。


 「それにナナちゃぁん、Sも、あとひとつしかないよぉぉ?」

 そこに気づいたこけしちゃんに、


 「わ、わたし、購入します…、」


 ちいさく振り絞った、ナナ。




 「じゃあぁ、ここ鍵かかってるからぁ、店員さん、呼んでくるねぇぇ。」


 うれしそうに、こけしちゃんが走っていったあと、


 「あ、こけしちゃん、」


 ナナは呟く。




 「“G”も、ひとつだけ、ございます…。」







 営業スマイルの店員さんを引き連れてニコニコと戻ってきたこけしちゃんに、ナナはちゃんと報告して、ふたりはおなじシリーズのネックレスを、ゲットしたのであった。

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