第33話:Game(&Each…).29
「そういう、ものかな…?」
ナナのこころは、すこしずつ穏やかになってきていて、
「そうだよぉ。大切なひとはねぇ、巡ってるんだよぉ。」
にっこり、こけしちゃんは告げる。
「そう、だよね、」
ギュッと、彼女の手を握りしめ、
「ありがとう!こけしちゃん!わたし、あのひとのちからに、とことん、なるよ!」
叫んだナナの目からは、涙がひとすじ、伝い落ちた。
「ナナちゃぁん、」
「こけしちゃーんっ!」
そしてふたりは抱きあって、しばしまた、泣いた。
先ほどみたいな、嗚咽は出てこなかった。
―――――…
ナナとこけしちゃんは、公園のベンチに座って噴水を眺めている。
「いやぁ、今日はとっても、天気がよいねぇ!」
背伸びをしたナナに、
「でもねぇぇ、夕方以降は、激しい雨のおそれがあるのぉ。」
こう明かした、こけしちゃん。
「え?そうなの?」
「そぉなのぉぉ。」
ナナは空を、見上げる。
「天気って、ときとして気まぐれだね。」
しかし今は、とても穏やかに晴れ渡っていた。
そよぐ風が、ゆっくりとたなびいてゆく。
そのとき、こけしちゃんは提案した。
「ナナちゃぁん、これからふたりで、お買い物いかなぁいぃ?」
と。
「うん!行くよ!こけしちゃんとなら、どこへでも行きたいよ!」
んでもってナナは、こけしちゃんのこともさりげなく口説いており。
「エヘヘぇ。行こうぅ。」
にっこり笑ったこけしちゃんと、並んでナナは歩き出したのであった。
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