第3話:Game.1



 ピシャ―――――…

 ナナが顔を真っ赤にして、保健室を出ていったあと。

「“すべての教師にすら命令口調の生意気な”ヤツ?」
 と、(美人)先生は呟き、


 うーん………………。


「…………ダメだ。どう考えても、ひとりしかいないわ。」



 …………………あ〜らら。








 ズンズンと廊下を歩き、教室に向かうナナ。
 (なんなのよもう!みんなしてわたしを、バカにして……………!)
 イライライライラ。
「こうなったら……………」

 何としても放課後、逃げ切ってやる!

「よっしゃ!」

 気合い入れて叫んだところで、

「あ〜、キミ、うるさいよ。」

 と、(ご存知)化学の先生が、職員室から顔を出した(職員室のまえで叫ぶな)。
「あ、ごめんなさい。」
 とっさに謝ったナナ、もちろん香牙がなんとかしてくれるこの場面にて。

「三咲くん………………!」

 驚いた様子の、化学の先生。

「ご、ごめんね…………!キミに注意したなんて、暮中に言わないでくれる…………!?」
「…………どうして、ですか?」
 泣きそうな化学の先生だって、たまにはとどめさせるんだい。

「だって、キミたち、キキキキキスしてたんだから、付き合ってるんだよね…………!?彼女に注意したなんて知られたら、先生、ひどいことされちゃう…………………!」

 ………どいつもこいつも!!

「ごめんね…………!でも学校では、それ以上はダメだよ……………!?」

 ドッ―――――…

 しっかりみぞおち、クリーンヒット。

「ぐぉぉお…………!!なにこれ!?暮中に教わったの!?」

「訴えてやる――――――っ!!」

 顔を覆い、走り出したナナ。

「ちょっ……、訴えられたら、先生が生きていけないよ…………。逆に訴えてもいい…………?」


 定年まであと5年だけど、家族養ってかなきゃなんないのよ。













 キーンコーン――――…

 鳴っちゃいました。
 本日最終の授業が、終わりを告げるチャイム。
 放課後です。
 “逃亡劇”の、幕開けです。

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