第32話:Game(+Game).28





 「……………、」
 驚きのあまり、ナナは口をあんぐりと開けて、ゴルゴンゾーラさんかと思われるその人物を見上げていた。


 すると、彼は言った。



 「いかにも、私は醐留権 要(ごるごん かなめ)だが、まさか君は私のストーカーかい?」




 「はいーっ!?」
 尻もちをついたままのナナは、まず、


 (なぜに名字だけ、そのまんまにしちゃったんですかぁーっ!?)


 その点についてをツッコんでおり。



 「私に見せるために、あんなエロいパンツ履いてたのかい?」

 醐留権は、さらにつづける。



 「何を言ってるんですかぁーっ!?」

 恥ずかしくなったナナは、立ち上がるまえに正座をした。




 そこへ、


 「おい、」


 まず見せたいであろうならこのひとというひとが、声を掛けた。



 「なにやってんだ?おまえは、」







 はっとしてナナが顔を向けると、


 「ナンパか?」


 もんのすごく不機嫌そうな薔も、堂々と彼女を見下ろしていた。



 うぎゃあぁ―――――――っ!!



 「違いますってぇーっ!」

 ナナは慌てふためいたが、真っ赤になっており。


 「おや?」
 醐留権は、落ち着いて、歩み寄ってくる薔をずっと目で追っていた。




 「立て、」

 本日二回目かもだが手を差し伸べられたので、ナナはその手を掴んで立ち上がる。


 そのとき、


 「あぁ、その子は君に見せるために、あんなエロいパンツ履いてたんだね。」


 ちょっと皮肉を込めて醐留権は言ったのだが、



 「当たり前だ。」



 別に何てことなく、薔は落ち着き払ってはっきりと返した。




 「そこ、そう答えますかぁ!?」

 さらに真っ赤のナナだが、

 「なに言ってんだ?すでに全部見てんだろ?」

 えぇ、当然のようにこう返ってきましたよ。




 「………………!」

 ナナさん、絶句。






 「いやぁ、仲良しで、いいことだね。」
 醐留権は眼鏡に手を当て、瞳を閉じて笑っている。

 「そもそも、性教育だの何だのより、確かめあうことはもっとも手っ取り早い方法だ。」

 眼鏡から、手を離す醐留権。


 「そうは思わないかい?」



 かっこよくキメたつもりの、このシーンで、



 「おや?いない、」



 ナナと薔はもう、教室に入ってしまっていた。





 「フッフッフ…、」

 醐留権は、笑いながら言った。



 「どうやらこの学校では、一番目立つ存在にはなれないみたいだね。」

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