※第30話:Game(in Bathroom).27
「はあっ…………はあっ………………」
達したナナは、ぐったりと火照って、熱い息を吐いていた。
「エロくて、イイ声…、だったよ………」
薔は、その髪をやさしい手つきで、まるで落ち着かせるかのようにそっと撫でている。
「…っも、エッチで……困り…ま…す……っ……て…ぇ……………」
ナナはうるんだ瞳に涙をためて、声を振り絞ったのだが、
「かわいい…、」
甘く囁かれちゃいました。
しばらく、うしろから抱きしめられたまま、濡れた髪を撫でられて、深い息を吐いていた。
「あ………落ち着き、ました…………」
深呼吸して、ナナはやっとのことで報告をする。
薔はまだ、髪を撫でたまま、
「なぁ、ナナ、」
ふっと、囁きかけた。
「おまえは、したいと思ってねーのか?」
「はい…………?」
ナナはすこし、キョトンとした。
「戯れあいたいと、思ってはくれないのか?」
意味を理解したナナは、頬を赤らめた。
「や、あの、わたしも、したい、です…………、」
「なら、向き合って、しよ?」
薔はナナの耳に、魔法のようなキスを落とす。
「ほら…………」
肩を撫でられたナナは、ゆっくりと縺れるようにして、向きを変えたのだった。
激しくドキンとした。
向き合ってみて、いざ目のまえにした薔は、風呂のふちへ右腕を乗せ湯船にもたれて、濡れた髪に、流れるような目つきでナナを見ていた。
「どーした?」
この問いかけに、ナナはただぼーっと見入ってしまい、なにも言葉にすることができない。
「ナナ?」
ただ黙って見とれているナナへと、薔は左腕を伸ばして、
クチュ――…
彼女の、耳たぶに触れた。
「……っん…………!」
ビクンとしたナナは目を瞑ったが、
ローションに濡れたゆびさきは音を立てて耳たぶを弄る。
「ぁ……あ…っ……………」
火照り、うっすらと瞳を開けたナナのまえ、
もはや耳全体を弄っている薔なのだが、目つきだの何だのはそのまんまで、ゆっくりと自身のくちびるを、舌を這わせて舐めたのだ。
疼いて仕方ないナナは、戯れあうことに没頭しようと、ふるえる手を伸ばす。
「んぁ…っ…………」
触れる寸前に、激しくビクンとしたが、やっとのことで鎖骨のあたりへ手をあてていた。
ヌルヌルとはしていくが、あまり効果はなく、胸元も撫でてはみたがナナばかりが声をあげていた。
よって、
「ナナ、」
囁かれちゃいましたね。
「この場合、手コキかフェラで、男は感じるんだよ。」
とね。
「え…………?」
耳のゆびは離されたが、頬を撫でられていた。
「こないだ、教えただろ?」
そして、いま、ナナが見つめている薔に、
「アレ、やってみろよ。」
ものすごく妖しく、微笑みかけられていた。
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