※第30話:Game(in Bathroom).27





 「は……………」

 ぬるくて、ベッドに比べたらそれは狭い湯船のなか、やさしく抱きしめられたまま、あつい息を吐いている。

 感じあう体温が、混ざりあってゆくようで。



 ふと、

 「ナナ、」

 薔は、囁きかけた。



 「ローション……、入れても、いいか?」





 「え?ろーそん?」
 ナナがとっさに聞き返したそれは、まちのほっとステーションのことであった。

 「イチイチ、かわいいよな、おまえは、」
 笑ったように言う薔は、

 「それ、取ってくれないか?」
 耳もとで、斜め前に置いてあるパッケージを指し示すかのように、そっと囁いた。



 「え?あ、はい……、」
 ナナは恐る恐るそれを、手に取る。

 「好きな女が来るときは、こんくらい、用意しちまうモンなんだよ…」

 パックを持ったほうの、肩を撫でながら、

 「卑しいよな、男は…、」

 自嘲気味に笑う薔に、ナナはまたしてもゾクゾクしたのだった。





 「まぁ、男はすべてそうかと言や、そーでもねぇから、安心しろ。」
 そして薔は付け足したが、

 「いや、わたしは、薔が大好きなんで、まったく気にならないです、卑しいとかぜんっぜん思わないです、大丈夫です、」

 真っ赤でナナは、力説した。



 「なぁ、ナナ…、」

 すると薔は、ちょっとだけ甘えた声をだした。


 「それ、揉んでて?」




 「お、お任せください、」
 ドッキドキのナナは、緊張しまくっており。

 ふるえる手で、やわらかくパッケージを揉みほぐした。

 すると薔は手を伸ばして、風呂の栓を抜き、お湯を減らしていった。
 揉みほぐすことに夢中なナナは、カラダが徐々にあらわになってゆくことを、まったく気にかけていなかった。


 三分の一程度になったところで、再び栓は締められた。




 「これ、どうするんですか?」
 ひっくり返したりして、とりあえずほぐしまくったナナは、使い方がわからず問いかけており。


 んで、

 「あぁ、俺が、入れてやる…」

 薔は囁いて、

 「おまえは、かき混ぜてろ、」

 えぇ、エロティックに、指導しましたよ。



 「は、はいっ……!」



 むせかえるような甘い香りが、バスルームに広がってゆく。


 ということで、抱きしめた状態で薔が入れながら、ナナがかき混ぜたので、立派なローション風呂が、できたんだとさ。

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