※第30話:Game(in Bathroom).27




 「あぁ…ぁ…………」
 あまりにも色っぽく告げられたため、ナナは激しくゾクゾクしてしまう。

 「がっつきたく、ねぇが、好きで…、好きで、」

 薔はカラダを押しつけるようにして、囁きつづける。


 「どうか、しそうだよ…………」




 「んんん…………」
 締めつけられる感情に、支配されてゆくナナ。
 せつなく瞳を閉じ、ふるえて身を任せる。


 「なぁ、ナナ……、」

 ぬるい湯船のなか、ふたりのカラダは熱く触れあっており。



 「ほんとの、セックスは、どうだった?」



 薔はやさしく、問いかけました。




 「ほんと、の………?」
 ぼんやり問い返すナナに、

 「昨日の、夜、やっと、できた、セックス…、だよ…」
 やさしく薔は説いて、吐息を吹きかける。


 「あっ…………」
 ナナはカラダをすこし反らし、

 「あの……、」

 火照って、告げた。



 「ぜんっぜん、違いました………、すごくやさしくて……、キモチ…、よかっ…た………です………」





 「おまえが初めてだったから、やさしくしたんだよ……」

 素直な言葉を振り絞ったナナのくちびるを、ゆびさきでぷるんと、弾いて。


 「もっと、激しくて、溺れるほどのセックスも、また教えてやる…………」
 
 やさしいが淫れた囁きを、薔は耳もとへと残したのだった。




 生きてゆく、このさきも、導いて昇りつめて、愛しつづけることを――――…




 「それから……、もう、ずっと、呼び捨てに、してくれ………」

 そして彼は、付け足しました。

 「え……っ?」

 これは、予想外か。


 「敬語も、なくしてやりてぇが、」

 濡れた髪を、濡れた手で撫でればゆびさきに絡みつくようで、

 「おまえの敬語、めちゃくちゃかわいいんだよな……」

 こう囁きかけた薔に、ナナはかなりドキッとした。



 なので、

 「いや、一気にだと、心臓、もたないん…で、大丈夫です、ほんとに……、」

 淡く響く声ではあるが、ちゃんと振り絞っていた。

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