※第30話:Game(in Bathroom).27




 サァ―――…

 ナナのくちのなかへ、3日ぶりの新鮮な血液が流れ込んだ。


 「んんっ…………!」

 ドクン――――…

 時間が経っていたためもあり、F・B・Dの効果は存分に発揮され、すぐさまナナの全身を突き上げる。


 「んぅ…っ……………」
 身を捩る彼女はそれでも、昨夜とのあまりの違いに戸惑っていた。


 チュク

 流れ込む血液とともに、舌も押し入ってきて、くちのなかをなめらかにかき回す。


 「ん………んんんっ……………」

 ナナは激しく、からだを反らして悶えた。




 チュプ――――…

 ふっと、薔は舌を抜いてくちびるを離した。


 「はぁっ…………はぁ…っ………………」
 頬を挟み込んだまま、ほとんど触れあっている距離ではあるが、彼は瞳を深く閉じて血に染まったくちびるから熱い吐息を零している。

 「あ……………」
 ナナはぐったりしながらも、うっとりとその光景を眺めていた。



 「ナナ……………」

 そのまま、薔が彼女の名前を呼ぶと、


 ポタッ


 一滴の血が、ナナのくちびるを彩って。



 やがて、瞳をすこし開いた彼は、はっきりとした声で囁いた。




 「……飲み干せよ、ぜんぶ。」








 「死んじゃい……ます…っ…て……………」
 胸を締め付けられたナナは、ふるえる声を振り絞る。

 「死ぬまえに、また、注ぎ込めば、いい。」
 触れあう熱い息のなか、薔は囁きをつづける。

 「無理です……よ……………できませ…ん………………」
 ナナも声を、振り絞りつづける。


 「やってみねぇか?」
 かすかに笑って、薔はナナの髪を撫であげた。


 「愛してるんだ、ナナ、」
 ゆびは滑り、額を撫でて、



 「今おまえが、俺を、支配して、みせてくれ。」


 血で染まったくちびるから、艶やかな言葉は零れ落ちた。






 「そん…っ……なぁ…………」
 ナナの瞳は、せつなくうるんでゆき。

 「どこから、吸いたい?」
 瞳の変化を感じとった薔は、ゆびさきで彼女の頬をそっと撫でる。


 そして、

 「うえ、脱いだほうが、いいよな?」


 こう微笑みかけた彼は、


 スッ―――…


 ゆっくりと、起きあがったのだった。

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