第29話:Game(&Beside).26




 (えええ!?)

 いきなりの事態に、ナナは慌てふためいた。

 (どちらさま!?だれのお子さん!?)
 こうこころで疑問を抱える彼女に、


 「隠し子か?」


 問いかけた薔は、ちょっと不機嫌になっていた。




 「なにをおっしゃりますーっ!?わたしは子供、つくれませんよーっ!!」
 なのでナナは、必死になって叫んだ。

 まわりに人がいなくて、幸いだった。


 「叫ぶな。だれだ?」

 有無を言わせぬ声に、

 「わたしも知りませんてば、」

 声だけは必死で落ち着かせ、ナナが慌てていると、


 「ダディ…、マミィ……、」

 泣きながら、女の子は言った。


 (はい…………?)
 顔をあげた女の子は、栗色の髪なので日本人だと思っていたのだが、瞳は青色だった。


 「Where are my daddy and mammy?」


 そしてこう、問いかけてきました。



 (何語ですかぁ―――――っ!?)

 ナナにはちんぷんかんぷんだった。
 アメリカに行ったこと、あるのに。


 すると、

 「なんだ、迷子か、」

 薔は呟いて、

 「Have you got separated from your parents?」

 普通に、流暢な英語で女の子へと問いかけた。


 (ぎゃあ!何語!?)
 ドキッとしたナナだが、

 「……………、」

 女の子は泣きやんで、なんだかポーッと薔を見上げている。


 (すごいよ!国境を越えたよ!)
 感動ひとしきりの、ナナ。



 薔はしゃがんで、女の子と英語で会話をすこし交わした。

 何と言っているのか、ナナにはまったくわからなかった。





 立ち上がるとき、

 フワッ

 薔は女の子をやさしく抱きかかえた。



 「完全に迷子だ。親を捜す。」




 ポカン。(by.ナナ)


 泣きやんだ女の子は、はしゃいでおり、なんだか一所懸命に薔へ話しかけていた。
 女の子は、幸いにもジーンズだったため、彼はその子を肩に乗せてちゃんと話を聞いているようだった。



 ときどきナナにも女の子は話しかけたが、ナナにはさっぱり意味不明だった。
 が、ナナは笑って、適当だが懸命に返事をして、その後薔がなにか説明しているかのようだった。

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