※※第28話:Make Love!.1




 「ぎゃあぁぁぁぁあ……!」
 これぞまさしく怪奇現象だと思ったナナは、恐怖に叫びをあげた。

 「ぇぇえ!?なに!?幽霊!?幽霊のしわざ!?」
 真っ青でガクガクと怯えていると、


 「ナナ?」


 暗闇のなか、薔の声がした。




 となりに座った彼は、やさしくナナを抱きしめて、
 「もう大丈夫だ。」
 力強く言った。

 「こわかったですよぉ!」
 ナナはきつく、薔に抱きつく。



 ガタガタとふるえていたナナだが、心地よい香りに心底安心してきた。


 そんなとき、

 パッ―…

 明かりが、戻った。





 「おぉお……!よかったで」
 言いかけたナナは、このときようやく、


 薔が上半身にはなにも着ていないことに、気づいた。




 「ぎゃあぁ―――――――――――っっ!!」

 真っ赤っかになって、とっさに彼から離れたナナ。

 「なんで俺にまで、驚いてんだ?」

 落ち着き払った薔は、ちょっと不機嫌になった。


 「なぜにうえを、着てらっしゃらないんですかぁ!?」
 真っ赤で質問するナナのまえ、
 「ちょうど着るまえに、停電したんだよ。」
 不機嫌そうに言って、
 「おまえが怖がりだから、急いで来てやったんだが?」
 そう言う薔は、いつものようにふんぞり返った。


 「おわぁ!そうでしたか!それはスミマセン!ありがとうございます!!」
 なんだかもう、ナナは無我夢中である。


 「まぁ、いい。おまえ、着替えろ。」
 しかし、体勢とかはまったく変えずに、薔はこう命じました。


 「なぜに、ですか?」
 ナナはキョトンとしたが、

 「星を見に行く。」
 とだけ、彼は言った。




 ナナがあまりにも叫ぶため、花子はいったん、お部屋から出てきてました。

 つぶらな瞳で尻尾を振っており、薔はしばらくなでなでしてました。

 ナナは着替えるより、この光景を見てたかったのでした。







 ちなみに、ナナの下着はきちんと洗濯されており、ちゃんと乾いてました。
 今日一日、“それは”、つけてなかったからね。

 意味深。

[ 295/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る