第26話:Game(on Holiday).24





 そして、帰宅。
 もうここ、ナナの家でもいいくらいだわぁ。



 リビングにて。
 ナナは新しい辞書を、袋のまま大事に抱えて立っていた。
 そして、帰ってきた薔の傍らでは、花子が尻尾を振りながらつぶらな瞳でご主人さまを見上げている。
 そのあたまをなでなでしながらの彼に、
 「あぁ、そこに置けよ。」
 と言われたナナは、テーブルに辞書を置け、ということだとわかった。
 なにせ、ナナの目のまえには立派なテーブルがあったからね。
 「は、はい……」
 丁寧に、辞書をそこへ置いた。

 そのあと、
 「おまえ、なんか飲むか?」
 薔はナナに聞いた。

 聞かれたナナは、
 「あ、そういえば、喉渇いてます……が、血液は、大丈夫です!」
 と、答えた。

 「付け足すな。待ってろ。」
 あれ?付け足さなくてもよかったですか?の気持ちでキョトンとするナナのまえ、薔はキッチンへと向かい、

 「ほら、」

 ほどなくして戻ると、冷えたミネラルウォーター(500mlのペットボトルのね)を、手渡した。


 「うわぁ!キレイなお水ですね!」
 感心するナナに、

 「観ながら、それ飲んどけ。」
 と言って、

 カチャ―――…

 薔は、DVDを再生させた。



 「おお!ついにゴルゴンゾーラさんが!」
 ミネラルウォーターを持ったままソファへ座ったナナは、まずは一口飲んだ。
 「わあ!美味しい!」
 はしゃいでまたすこし飲むと、
 「もっとそっち寄れ。」
 ちゃんとスペースは空いてるのに、薔はこう命じた。


 「あ、はい、」
 端っこにちょこんとナナが座ると、

 トサッ―――――…

 なんと、薔は、ソファに寝そべって、ナナの膝というか太股か、のうえにあたまを乗せたのだ。




 (ぎゃあ―――――――――っ!!)
 こころで叫んで、ナナは真っ赤になった。
 ちなみにこの時点ではまだ、予告が流れていた。


 「なにをやって、らっしゃるんですかぁ!?」
 「膝枕だ。」

 ……………ぇぇえ!?


 ここらで、気を利かせた花子は、寝室へと向かっていった(ま、ベッド独占だね)。


 赤面とあたふたするばかりのナナだが、



 『私に解けないのは、私自身が君を縛るこの縄だけ。』



 ゴルゴンゾーラさんが、始まっちゃいました。

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