第26話:Game(on Holiday).24





 セーラー服を着た女の子三人組が、ゴルゴンゾーラコーナーでやたらかしこまっていた。
 只今、“ドS探偵・ゴルゴンゾーラ”は大人気らしく、立派なコーナーまでできていた。


 「おぉお!やはりゴルゴンゾーラさまは、神どす!」
 「まさしく聖域!」
 「ドS、神!」

 めちゃくちゃ挙動不審な女の子たちのまわりは、
 (う、うん、見て見ぬフリをしよう。)
 と思いながらも、かなり見ていた。


 「いやぁ!やはり、さすがは二次元どす!」
 「二次元、神!」
 「現実には、ここまでのひとはおらんよねぇ!」
 息を荒げる女の子たちに、


 「おい、」


 ここでようやく、ゴルゴンゾーラにたどり着いたナナと薔なのだが、声をかけたのはもちろん、薔です。



 「そこを、どけ。」




 あれれぇ!?
 現実にも、いたぁ!


 持っていた鞄を落とした女の子たちは、

 「失礼いたしましたぁ!」
 真っ赤になって、すぐさま退いた。


 そこへナナの手を引いて堂々と歩み寄った薔は、

 「とりあえず1巻でいーか?」
 第1巻を手にして、振り向きナナに問いかけた。
 大人気なので、巻ごとに何本か用意されており、第1巻がかろうじて一本だけあったのだ。

 「あ、は、はい……………」
 ポカンと返事をした彼女と再び歩いて、薔はカウンターへと向かったのだった。





 女の子たちは鞄を拾い上げ、

 「現実にも、いるんですね!」
 「よかった!望みを持てた!」
 「うん!」
 先ほどより、はしゃいではいるが静かになった。

 「い、いや、しかし、あのおかたは、DVDを出したりしているのだろうか!?」
 「ああ!ほしい!」
 「でも、彼女連れてらしたね!」

 この意見に、

 「なに言ってんの〜!?ゴルゴンゾーラさまにだって、彼女いるじゃん〜!」
 ほかのふたりがツンツンしたため、
 「そっかぁ〜!」
 この女の子は、てへぺろをした。




 …………え?
 ゴルゴンゾーラさん、彼女いるの?







 んでもって、ナナと薔は、“ドS探偵・ゴルゴンゾーラ、第1巻”を、レンタルした。

 ついでに本のコーナーで、ナナは辞書を買ってもらった。
 ちいさくて持ち運びには便利だが、けっこう値段のする辞書だった。

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