第26話:Game(on Holiday).24





 この日空は曇っていたため、夏でもけっこう涼しかった。

 手をつないで歩いていた。
 ちなみに薔はラフなカッコ(白いTシャツにブラックデニム)で、ナナは彼のTシャツとジーンズを借りていた。
 裾を折っても引きずらんばかりの彼女は、やたらもじもじしていた。




 やがて10分ほどで、ふたりは近くのDVDレンタルショップにたどり着いた。

 SUTAYAというお店だった(なんだかごめん)。


 (はじめて来たよ!?こんなとこ!)
 キョロキョロするナナに、
 「おまえ、さっき言ってたやつのレンタル探せ。」
 薔は命じます。

 「え?ゴルゴンゾーラさんですか?」
 「あぁ。」
 キョトンとするナナは、レンタルの意味がわかっていなかった。

 「わ、わかりました!とりあえず探します!」
 わかってないのだが、一緒にゴルゴンゾーラさんを捜索しはじめたのだった。




 「うわぁあ………!なんですか!?こわいですよ!ここ!」
 ホラー映画のコーナーにて、怯えるナナ。
 「なに言ってんだ?おまえ、ヴァンパイアだろが。」
 と言う薔は、まさしくヴァンパイアものを手にとって見ていた。

 “セクシー・ヴァンパイア・ハニー”

 という作品だった。

 注目作で、正面を向いていたそのパッケージには、めちゃくちゃ色白で金髪のかわいい女の子が写っていたのだが、


 「おまえのが、果てしなくかわいいな。」


 静かに告げた薔は、もとの場所へ戻した。


 ナナは無言で、パッケージの女の子とは正反対に、真っ赤になっていた。




 そしてやっぱり、

 「うわぁあ…!あの男の子かっこよすぎるんだけど、モデルとかやってるのかなぁ?」
 「いや、あんだけかっこよければ、見たら忘れないって…、」
 とかいう、ひそひそ話が聞こえてきましたね。

 「でも彼女いるね〜。スゴイね〜。」
 「あたしだったら、まず、気絶するわ。手ぇつないでるもん。」

 このときナナは、それとなく褒め称えられていた。
 んでもって、今はもう本当に彼女なので、真っ赤にはなったがこころでの否定はしなかった。


 そんなとき、

 「キャア――――――ッ!ゴルゴンゾーラさまぁ!」
 ちょっとした黄色い悲鳴が、SUTAYA(だからごめん)に響き渡ったのだ。



 (ゴルゴンゾーラさん!?)
 ついに、黄色い悲鳴によってだが、ゴルゴンゾーラへの手がかりを掴んだナナ。

 「探す手間が省けたな。」
 落ち着き払って言った薔と、声のしたほうへ歩いていった。

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