※第25話:Game(&Sex?).23





 ちょっと申し訳ない気もしたが、かき氷は水になってしまったのでカップなどをちゃんと捨てて、ナナは薔のイチゴアメを舐めていた。


 ふたりが手をつないで歩いていると、

 「あぁあ!見つけた!目立っててよかった、ほんとうに!お兄さぁーん!」

 だれかが、大声をかけてきた。


 (はい…………?)
 ナナだけそちらを見ると、先ほどの金魚のおじちゃんが駆け寄ってくるところであった。
 明らかにおじちゃんは、「お兄さん」と呼びとめたが、薔はまったく見向きもしなかった。


 (えぇえ!?)
 驚くナナだが、薔は歩きつづける。
 「ちょっ、ちょっと待ってよ!そこのものすごくイケメンのお兄さんてば!」
 これについても、彼はやはり無反応。

 「ぇぇえ!?振り向くどころか、反応すらいっさい示さないよ!どういうこと!?」
 おじちゃんは、軽く息をきらしてスピードをあげた。


 んでもって、ふたりのまえにまわり込んだ。

 「待ってよーっ!さっきからおじちゃん、ずっと呼ん」
 「おい、」

 ………………はい?


 「だれが目のまえに立ってもいいと言った?」


 …………ぇぇぇえぇ!?

 けっこう懐かしいやりとり再びだが、薔はとくにおじちゃんをなにかに例えたりはしなかった。



 「え、いや、あの、お名前を、」
 「俺たちはこれからやることがあんだよ、どけ。」


 …………………え?



 キョトンとするおじちゃんを退けて、薔は立派に歩きだしたが、ナナは真っ赤でうつむいていた。




 ポカンと、背中を見送るおじちゃん。

 「……謙遜的な、いい子だ。今どき、珍しい。」


 この物語において、“謙遜的”はけっこう深い意味を持ってはいるが、まず辞書ひいてみてほしい。











 はい、やがて、薔のマンションへと、たどり着きましたね。

 すでにイチゴアメは、キレイに舐め終えてました。



 エレベーターの、なかにて。

 (うわぁあ……!さっき続きがどうのこうので、頷いちゃったけど、続きっていったい、なにをするんだ?)
 ナナは真っ赤で、やたら緊張していた。
 逆に薔はやっぱり、落ち着き払っていた。



 そして、15階に着いちゃいました。







 ガチャ――――――…

 んでもって、ドアは開けられて、

 バタン――――…

 閉められて、


 不本意だが、花子をワンちゃんとしてとらえていただくと、


 シン―――――――…


 閉ざされた広がりゆく世界において、ふたりっきりになったとさ。

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