第24話:Game(=Lovers…).22





 ナナが教室へ戻ると。

 「おい、ナナ、」

 席に着く間もなく、名前を呼ばれた。

 「は、はいぃ…………?」
 ビクッとして真っ赤になるナナに、
 「はやく座れ。」
 薔は命じる。

 「え?あ、はい、」
 ナナがちょこんと席に着くと、

 クイ―――…

 そのほおを挟んで、顔を自身に向けさせ、薔は言った。



 「おまえの顔をよく見せろ、変なモン見ちまったしな。」



 真っ赤で、唖然(by.ナナ)。




 (なにをやってらっしゃるの――――――――――っ!?)

 ギャラリーも真っ赤で、震撼していた。





 (あわわわわわ!いつまでわたしは、見つめられてるのだ!?)
 ずっと赤面しながら、ナナがふるえていると、

 「そーいや、おまえ、今夜空けとけ。」
 そのままの体勢で、薔は言いました。

 「え?開けるって、なにをですか?玄関ですか?」
 動揺のあまりナナは、“あける”の意味を履き違えた。

 しかし、そのあと、

 「なに言ってんだ?デートだ。」

 やっぱりそう、返ってきました。


 …………………でーと?


 デートについて、辞書の登場を思案しているナナの、あたまに手をまわして、ひどく近づいて、
 「7時に、迎えに行ってやる。」
 耳もとで、薔は囁いた。



 いい匂いにもほどがあったが、まわりにはただ、キスしているようにしか見えていなかった。
 んでもってふたりには、まわりがまったく見えていなかった。

 まわりはそれとなく、心臓が限界だった。








 放課後のこと。

 ナナは、部活へと繰り出すまえのこけしちゃんへと、駆け寄った。


 「ナナちゃぁん。」
 重そうな鞄を下げたこけしちゃんが、ニコニコとナナにかおを向ける。
 「どぉぉしたのぉ?」
 首を傾げて、にっこりと尋ねるこけしちゃんに、
 「あの、こけしちゃんに、ご報告が、あります…………、」
 ナナはほおを赤らめて、もじもじときりだした。

 「なぁにぃ?」
 さらににっこりと首を傾げたこけしちゃんに、いよいよ、告げました。



 「あの、わたし………、か、彼氏が、でき、ました………………。」



 するとこけしちゃんは、

 「ナナちゃぁん、おめでとぉぉうぅ。だれなのかは告げなくてもぉ、わかるからねぇ?」

 いままでにない、にっこり顔を見せた。


 (おおお!かわいい!)
 ナナは、こけしちゃんにもキュンとした。

 そしてこけしちゃんは、つづけます。

 「あのねぇ、こうなるとはわかりきっていたけどぉ、いざ実現するととっても嬉しいのぉ。」
 「はい……?」
 ナナは目をぱちくりさせた。

 「すごぉぉくぅ、お似合いよぉ?あたしもゴルゴンゾーラと、目指すからねぇ。」
 「こけしちゃーん!!」
 ナナはこけしちゃんに、ひしと抱きつく。

 「今度ぉ、恋バナ聞かせてねぇ。参考にするからぁ。」
 「こけしちゃ――――ん!!」
 さらにつよく抱きついたナナは、

 (こけしちゃんて、撫で肩だなぁ!かわいいよ!)

 と、思っていました。

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