※第23話:Game(&Confession).21





 ときは、0時を告げようとしていた。

 携帯についてを復習していたナナは、眠れずにおり。
「うーん、こうなったらもう寝て、明日また教えていただこうかなぁ。」
 などと、隔靴掻痒の感に携帯を閉じた瞬間、


 突然、着うたが流れだした。



 びくびくぅ…………!
 はじめての着信に、ナナはのけぞり怯えた。
 あまりおおきな音ではなかったが、通話ボタンを押すため開いた携帯の画面には、



『わたしの薔さま』



 と、表示されていた。




 (ぇぇぇぇえ!?)
 ナナは仰天したが、とりあえず急いで、かろうじて覚えていた通話ボタンを押す。

「あの、」
『ナナ、』

 はじめての、お電話です。

「どう、なさったんですか?」
『非常識な時間帯に、悪りぃな。』

「い、いえいえ、」
 ナナはなんだか、声のトーンがせつなげなことに、ひどく胸が痛んでいた。

 そんななか、携帯の向こうひどく近くで、薔は告げた。




『おまえに、会いたいんだ。』





「え………………?」
 ナナは携帯を、キュッと握った。
 しかしそのあと、薔は声のトーンを戻しました。
『まぁ、明日でもいいか。声が聞けたからな。忘れてくれ。』



 ………忘れることなんて、できっこありません!!



「あ、あの!」
『あ?』

 ナナはちからづよく言った。



「いますぐ、行きます!」


 と。





『……あぁ、ならおまえ、合い鍵使って入ってこい。俺は寝室にいる。』



 そして切る瞬間、



『待ってる。』



 たしかに、そう、聞こえた。





 さいわいにもTシャツにジャージ姿だったナナは携帯を持ったまま、しまってあった合い鍵をつかんで、ものすごい勢いで部屋を飛び出した。


 階段を駆け下りて、サンダルをつっかけると、

「ナナぁ!?こんな夜中に、どこへ行くんだ!?」
 キッチンから出てきた父に声をかけられたが、


 バ――――――ン!!


 振り切るように勢いよくドアを閉めたナナは、ただまっすぐに駆け出した。
 駆け出してすぐに指輪を外した彼女は、風のように夜の道を駆け抜けていった。




「あの子は、最近、お出かけしすぎだよ。」

 ポカンと父は、突っ立っていた。




 ………それくらい、許してあげてよ。
 おそらく、一世一代なんだから。

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