第22話:Game(+Key).20
そしてつぎの日は、かなりの重要さを醸し出して、めちゃくちゃ重要なつぎの日へとつづきます。
ナナはちょっとはやくて朝7時20分に、やたらかしこまりながらスタンバイしていた。
そして薔もちょっとはやく、25分に堂々とやって来た。
「おおおおおはようございます!」
「あぁ、おはよう。」
えぇ、おはようも、今のところつづいております。
麺類に勝ってほしいです。
すると、おはようのつぎに薔はこう言いました。
「おまえがいねーと、あんま眠れねぇんだな。」
と。
「はい……………?」
キョトンとするナナ。
「まぁ、いい。今日はおまえに、やるモンがある。」
「は、はぁ…………、」
そして目をぱちくりさせていると、
「両手を揃えて出せ。」
と命じられたので、
「え?なんですか?エッチなコトですか?」
ビクつきながらも恐る恐るナナが両手を出すと、
ポト
そのうえに薔は、新しい携帯と、鍵、を置いた。
「おぉお!なんでしょうか?こちらは。」
「携帯と、合い鍵だ。」
………………あ・い・か・ぎ?
ナナは順番を逆にして、まず合い鍵に反応した。
「え?なぜにこれを、わたくしめに?」
「いつでも来れるうえ、いつでも声が聞けるだろ?」
………………ぇぇえ!?
「それにもうすぐ、夏休みだからな。」
「あーっ!そうでしたぁ!」
はい、この物語では、もうすぐ夏休みでした。
(いいいいやいや、それにしても嬉しすぎてしあわせすぎて、神棚に飾るまえに夕日に向かって叫びたいよ!?ありがたすぎるよ!?)
まだ朝だというのに、夕日をこころに描くナナ。
頬はいっちょ前に、夕日ほど赤くもあった。
そして会話は、つづきます。
「携帯の料金は俺が払う、よって、出会い系は厳禁だ。」
……………であい?
「で、“であいけい”って、なんですか?」
「知る必要はまったくねぇ。忠告しただけだ。」
…………………おおお?
「安心しろ。俺のはすでに登録してある。」
「あ、はぁ…………」
赤面しながらも、ちょっと猫背になる、ナナ。
「おまえの家族と桜葉以外は、絶対に登録すんなよ?いいな?」
「は、はい!!」
ナナはこのセリフで、猫背からは解放された。
「使い方は至って簡単だ、あとで教えてやる。」
「あ、ありがとうございます………!」
ペコリと礼を述べたナナに向かって、薔は堂々と言った。
「まぁ、要するに、俺とのテレセだな。」
………………てれ?
「て、“てれせ”って、なんですか?」
「テレフォンセックスのことだ。」
………………ぎゃあ!
「それこそ辞書で、濁しましょうよーっ!」
「あ?」
ということでナナはこの日、携帯と、薔のマンションの合い鍵、んでもって彼の携番やアドレスを手に入れたのであった。
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