第22話:Game(+Key).20





 (いやぁ、こけしちゃんは、ほんっとにかわいいなぁ!ちょっと意味深なことを、たくさん言われた気がしなくもな)
「おまえの声だけ、ムダにトーン高けぇな。」


 …………………ぎゃあ!


「うわぁ!いつからいらっしゃいましたぁ!?」
「すべて聞いててやったが?」

 ………………ひぇえっ!

 懐かしいやりとり、再び、だが、こけしちゃんがさりげなく濁していたひとは、堂々と隣の席に、ふんぞり返っていた。



「まぁ、高い声は、セックスにおいて重要だな。」


 ……………………はい?


「帰るぞ?」
 薔は、流し目でナナを誘うように見ていた。









 帰り道では、こけしちゃんが言ったように、やっぱり手をつないでいたわけで。

 そしてナナの家に着いたのだが、

「ナナ、」

 手を離す瞬間、薔は彼女の名を呼んだ。

「はい?」
 目をぱちくりさせて返事をしたあと、となりを見ると、


 ちゅっ


 やわらかくキスをおとして、薔は言った。






「ほんとは連れて帰りてぇが、今日はガマンしてやるよ。」





 ナナは真っ赤で、唖然とした。



「じゃあな。」
 そんな彼女のほおにゆびを滑らせてから、薔は堂々と歩いていった。


 ナナはしばらく真っ赤っかで、ポカンと見送っていた。








「ただいま。」
 玄関のドアを開けると、

「おかえり、ナナ。」
 珍しく母は演歌を聴いておらず、上がり口に腕を組んで立っていた。

「おぉお……!びっくりしたぁ!」
 ナナがすこしのけぞると、

「ナナ、」

 背高き母は、言いました。




「2日間も帰ってこなかったなんて、あなたは、立派よ。」




 と。

 よくよく流れをおってみると、ナナは2日間、家に帰っていなかった。


 …かぁぁぁあっ!


 またしても真っ赤になる、ナナ。


「大丈夫よ、野暮なお父さんには、うまく言ってあるから。安心していつでも、泊まってらっしゃい。」

 母はそう残して、奥へと歩いていった。
 ポカンとしていたナナは、改めて母に敬意を覚えまくっていた。




 そして、夕方帰った野暮な父には質問攻めにあうところだったが、やっぱり母が、助けてくれたのだった。
 んでもってその日の夕食は、味噌ラーメンだった。

 つづく麺類を、いったい何類が阻止するのだろうか?
 そのまえにナナ宅には、炊飯器が必要だった。

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