第22話:Game(+Key).20





「それにしても、ベンジャミンはいつまでここにいるんだろ?」
 ブツブツ言うナナは、ズンズンと廊下を歩いていると、


「三咲さぁん、おはよう!」


 ふたりの女子生徒に、笑いながら挨拶をされた。


「あ、おはようございます……………、」
 ちょっと気味悪いのでナナがかしこまると、
「いいのよ、三咲さん!敬語はやめてよぉ!」

 笑顔で近づかれた。

「い、いや、でも……………、」
 そちらにナナが顔を向ける瞬間、


「え……………?」


 女子生徒たちは、彼女の鎖骨のあたりにチラッと見えた、絆創膏を目の当たりにした。




「ぎゃあ!三咲さん!?その鎖骨らへんの絆創膏は、どうしたの!?」
 身を乗り出した女子生徒たちが真っ赤で叫んだので、


「ぇぇぇぇえっ!?」


 聞こえた周りも赤面して集まって、いつの間にかナナは囲まれていた。




「あ、あの…………………、」
 同じく真っ赤で、もじもじするナナは、またしても定番を述べた。




「蚊に、さされました……………………」




 (あれ?こうして見ると、三咲さんてけっこうかわいいわ。)
 周りは感心した、


 まさにその瞬間、


「おい、」


 声は深く、響いた。




「おまえにとって、俺は蚊か?」





 ドキリとしていっせいに顔を向けると、


 蚊とはほど遠いにも、ほどがあるひとが堂々と立っていた。



 ぎゃあ―――――――――――――っ!!

「おおおおおはようございます!」
 女子生徒らはさらに真っ赤になり、列をつくってかしこまる。

「いえ、あの…………、」
 やはりさらに真っ赤になってあたふたするナナに向かって、薔はひとこと。



「あんだけやさしく撫でてやったこの俺を蚊呼ばわりするとは、おまえ、いい度胸だな。」


 …………………え?撫でた?
 しかも、やさしく?



「つぎは激しく撫でてやる、来い。」
 もはや真っ赤どころの話ではないナナを引っ張って、薔は立派に歩いていった。







 見送りポカンと赤面する、女子生徒たちの会話。

「どうしよう?いまあたし、イっちゃったんだけど。」
「アタシも。」
「あたしは、もうちょっとで、イけそうだよ。」


 ……本当に大丈夫か?キミたち。



「三咲さんが羨ましいとかいう以前に、ここでイってたらあたしたちもう、カラダもたないわ。」




 ……じゃあ、ナナは、どうなるんだ?

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