第22話:Game(+Key).20





「ちょっと、ベンジャミン、」
 あまり必要な設定ではないかもしれないが、ベンジャミンは教室に入る、三歩くらい手前にいた。

 びくびくぅ………!
 ナナに呼び止められた、ちっさいオトコの怯えようは、凄まじかった。

「ぎゃあ!オドレイ!?」
 かなりのスピードでベンジャミンは、教室のドアまで後ずさる。


「ちちちち近寄らないで、くれるかな!?お仕置きされちゃうから!」
「あんた、それ、言える立場か?」

 青ざめるベンジャミンを、ただ引いて見ていたが、

「まぁ、いいわ。ベンジャミンに、最も重要なことをお知らせするから。」
「はい……………?」


 ナナは、告げた。




「あのひと、上玉だから。」




 とね。




「え……………?」
 ベンジャミンは、目をぱちくりさせたあと、


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」


 目を見開いて仰天した。



「えーっ!?ってことは、F・B・Dを持ってるの!?」
「当たり前よ。」

 するとベンジャミンは、目を輝かせた。


「スゴイよ!僕、長年の血液パーティーでも、見たことすらなかったよ!めちゃくちゃ貴重じゃん!」
「だから、」


 あまり見ても仕方ないが目を輝かせるベンジャミンに、ナナは言い放った。




「わたしたちヴァンパイアは、いや、ヴァンパイアじゃなくても、あのひとはほんっとに、大切にしなきゃダメ!」





「それは、そうだね…………………、」
 ベンジャミンは、呆然としている。

「だからあんた、あの時あのひとを殺してたら、王に何されたかわかったもんじゃないのよ?」
「あーっ!そう言えばぁ!」


 ちっちゃいオトコは、すこし身を乗り出した。




「生きててくださったことを、こころからありがたく思って。」




 ナナはなんだか、重要なセリフをほぼパクって、ベンジャミンに背を向け歩きだした。







「そうなんだぁ……………、」
 ベンジャミンの目はムダにキラキラしていたが、

「……………………、」
 同時になにかを、考え込んでいた。

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