※第21話:Game(in Ruins).19





 こだまする雄叫びが、遠のいてゆく。
 木々を飛び交い、それは尾を引く“恐怖”をかき鳴らした。



 まだそっぽを向いたままのナナは、

「ナナ、」

 うしろから、すべての音を遠ざけて、愛しいひとに名前を呼ばれた。


「いつまで向こう見てんだ?」
「え?もう、いいんですか?」
「いーから、俺を見ろ。」

 気がつくと、首の筋を違えるほどそっぽを向いていた。

「あ〜、よかったです!それより、助けにきてくださって本当にありがとうござ」
 笑いながら、正常位置にいったん戻ったナナは、



「……っん……!」



 かき抱くようにして、激しくくちびるを奪われた。



 薔のシャツをつかむと、彼はナナをキツく抱きしめ、ディープではないが息もできないほどのキスをする。


 しばらくの間、強引なキスに身を委ねきっていた。




「は……あっ……………」
 火照るナナからくちびるを離した薔は、

「触られたとこを、全部言え。」
 ひどく近くで、声を低めた。

「え……………?」
 うつろな瞳のナナに向かって、
「はやく言えよ。」
 薔はせつなげに瞳を細める。


「あ、あの、ほっぺたを、両方…………、」
 吐息混じりの報告を受けた薔は、


「そうか。」


 かがんで、ナナの右ほおを、舌で舐めたのだった。




「んあ…っ、」
 ビクンとしたナナのほおを、なんともいやらしいを出して、薔は舐める。

「消毒だ。」

 つぎに彼は、左も同じように舐めた。




「んんっ……………」
 ナナは快感と音の卑猥さに、疼き悶えた。

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