※第19話:Game(&Inside).17




「え………………?」
 ナナが目をぱちくりさせていると、
「とりあえず、これでいーか。」
 そう言った薔はテーブルのうえに手を伸ばし、運がいいのか悪いのかちょうどそこにあった、自身のネクタイを引っ張ってきた。
 ちなみに本日、それは締められていなかったので、濡れてはいない。


「ちょっ、なぜに今日に限って、置いてあったんですかぁ!?」
 のけぞるナナ。
「よかったな。」
 堂々とした薔。


 ………ひぇえっ!


 あわてふためくナナのした、彼は言う。


「ただ縛るだけじゃ、物足りねーな。」


 ………………はい?


 唖然とするナナのまえで、薔はなんと、ネクタイを自身の首に、引っ張れば絞まるようにして巻きつけたのだ。

「あ、あの…………」
「両手を出せ。」

 ……………え?

「はやくしろ。」
 有無を言わせぬ目つきにより、ナナが恐る恐る両手をまえに出すと、

 ギュッ

 その両手首をつかみ、自身の首と繋がるようにして、薔はネクタイを縛りつけた。


 呆然とするナナは、気づくとすごい体勢になっていた。





「考えて動けよ?激しく反れば、俺の首が絞まるからな。」
「ぇぇえ!?」
 ビクついたナナは、とっさに薔の首もとへ手を置いた。
「なんだ?手で絞めるのか?」
「違いますってーっ!絞まらないようにしてるんです!」
「別に絞めてもいーぞ?」
 ……………ぎゃあ!


 ビクつくナナに、薔は言った。



「まぁ、いい。今日はお前、口から吸え。」



 と。




「え?この体勢で、ですか?」
「別の体勢がいーのか?」

 ……………ぇぇぇぇえ!?

「い、いや、別の体勢になってもきっとエッチでしょうから、いいです!これで!」
「なら、はやく吸え。」
「は、はい………………」

 見つめられての指示に、ナナは大人しく従った。



 チュ――――――…

 くちびるをくちびるにおしあて、牙をたてた。

 プツ――――…

 刺さった部分から出た血液を、舐めるようにして飲み込む。

 あかく血は、一筋流れて落ちた。


「ん……んんっ………………」
 血液によって激しく突かれるナナは、

「ん――――――…っ!」

 一瞬、からだを起こそうとした。



 グッ――――――…

 ネクタイが、薔の首を絞めあげる。


「う……………」
 激しい絞めつけで、くちびるを血であかく染めた彼は、くるしげに呻いた。



「うわぁ!ごめんなさい!」
 ナナはかがみ込む。

「あ―――――――…お前、いっそ、絞め殺せよ。」
 息をあげて、薔は言う。

「やです!絶対に嫌です!」
 泣きそうになったナナは、流れるように見つめられた。
「永遠に、お前だけのものになるんだぞ?」

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