※第17話:Game(in Hotel).15




 きつく抱きあい、血液を含んだディープ・キスを交わす。

 理性を失くしたナナは、くちびるを離すと、薔の首すじに舌を這わせていった。


「やっとヤる気になったか?」
 濡れたくちびるを開き、薔はナナに囁きかける。

 その声はまるで、呪文を唱えるかのようで。


 夢中になるナナは、彼の浴衣をはだけさせた。


「お前はそこ、好きだな?」
 イジワルな微笑みを、浮かべる薔。


 ちゅっ


 この間は右だったので、今夜は左胸に、ナナはくちびるを押しあてた。

「あ…………」

 かすかに、甘い吐息が聞こえる。


 ナナは出せるだけの牙を出し、いったん激しく噛みついた。

「っあ――――――――…!」

 激痛が走り抜けた薔は、声にならない叫び声をあげる。

「は……あ…っ、」
 深く瞳を閉じる彼の左胸に牙を突き立てたあと、ナナは牙を抜いた。

 そして、すじを引いてゆく血液を下から舐めるように、舌を這わせる。
 噛み口まで這わせてゆくと、痛々しい傷口にくちびるを押し当て、吸いあげはじめた。
 血液はどこにも、付着することはなかった。



「――――――――あ…っ、」
 薔は壁にもたれて、声をあげる。
 吸いついているため、ナナにとってはセックスなのだが、彼女は声をあげてはいなかった。
 血液に陶酔してしまっていた。


「はぁ…っ、あっ……っ、」
 ずり落ちた浴衣があらわにさせた、素肌の肩を抱く。


「ん……っ、ナナ…………」
 甘い声で名前を呼ばれたナナは、吸いつくちからをつよめた。


「あ――――――――…っ!」
 からだを反らせ、薔が悶える。


「は…っ、…あっ、あ…っ!」
 激痛にまみれた快楽に薔は、うつくしく顔を歪ませた。
 吐息が、淫れてゆく。


「ん……っ、あ………」
 無我夢中で吸い上げるナナの背中に、薔は手をまわした。

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