※第17話:Game(in Hotel).15





「ん…………?」
 ナナが目覚めたとき。
 彼女は本間に敷かれた布団に横たえられ、氷であたまを冷やされていた。

「あれ………………?」
 事態がうまく飲み込めずにいるナナは、

「大丈夫か?」

 薔に顔を覗き込まれた。



 (どぎゃあ――――――――――――っ!)

 意識ははっきりした。
 ついでに先ほどまでの行為も、よくよく思い出せた。

「なぜにわたしは、ここにいるのですかぁ!?」
「運んできたからだ。」

 …………………え?

「だれが、ですか?」
「俺以外にいるか?」

 ……………ぇぇぇぇぇえっ!?


「安心しろ。意識の無えお前とは、ヤってねーよ。」

 でも結局、見られちゃったよ(泣)



 ふと気づくと薔は、浴衣を着ていた。
 はだけてとかはなく、きちんと着ていた。
 んでもってナナも、おなじものを着せられていた。

「おぉお!そちらは、かの有名な、浴衣ですね!?」
「あ?」

 ナナは思った。


 (浴衣って、やけに色っぽい着物なんだね!)


 と。



 ガバリ―――…


 おでこの氷を落として、ナナは起き上がる。

「あ、もうわたし、元気になりました!ヴァンパイアなので!」

 そして、心配かけまいと笑った。




「…………………。」
 しかしこのあと、しばしの沈黙はつづいた。


 (ぎゃあ!氷落としちゃったから、怒ってらっしゃるのかな!?)
 青ざめるナナ。


 に向かって、


「ナナ、」


 薔は問いかけた。






「ここでは血液つけらんねーが、どうする?」








「え?でしたら、流さなければよろしいかと、」
 ナナは目をぱちくりさせる。
「それじゃつまんねーだろ?」

 …………えぇええ!?

「いいいいいや、流さないほうが安心して夜をすご」
「お前、」

 薔はナナを見つめた。




「長いことヴァンパイアなら、つけねーテクくらい持ってるよな?」




「持ってますが、いまはつかいたくないです………」
「最近、お前しかイってねーんだよ。」

 ……………えええ!?

 ナナは真っ赤になり、唖然とした。



「好きなとこを噛めよ。」



 座りつくすナナに、薔がにじり寄る。



 じりじりと後ずさるナナは、壁に追いやられた。
 もう、あとがない。

 絶体絶命の彼女を捕らえ、薔は静かにくちびるを重ねた。

「ん……………」

 彼はすこしだけ出たナナの牙に、自らのくちびるを刺した。

 血液が、流れ込む。

 ナナはその僅かながらの血を、むさぼりはじめた。

 一滴もこぼすまいと、舌をつかってうまく飲み込んでゆく。


 最終的にはナナから、薔のくちのなかへ舌を押し入れていた。




「んんんっ……………」

 理性が麻痺してゆく。


 もっとほしくてたまらない想いが、


 ダン――――――…



 ナナを激しく動かし、からだを起こした彼女は逆に薔を壁へと押しつけていた。

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