※第15話:Game(in Bed).13




「お前の部屋は、どこだ?」
 目のまえで尋ねられ、
「え?あ、あの、そこ曲がってすぐの階段を、上がったところ、です……………。」
 ナナは突き当たった廊下を、ゆび差した。



「そうか。」
 そして薔はまた、ナナを抱きかかえた。

「ひゃあっ………!あの、大丈夫です!わたしきっと、もうちょっと経てば、階段くらい上れます!」
 真っ赤になって、あたふたするナナに、


「暴れんなよ。」

 流し目で薔は囁いた。





 よって、ナナは抱きかかえられたまま、階段を上っていったのでした。




 上りきった右側に、ナナの部屋はある。
 「ここか?」
 の問いかけに頷くと、とうとうふたりして、ナナの部屋に入ったのだった。





 ナナは心底、思った。
 (おぉお…………!掃除してあって、本当によかったよぉ!)
 と。

「とりあえず、ベッドに乗せるぞ。」

 フワッ―――――――…

 薔はそっと、ナナをベッドのうえにおろす。




「あの、なにからなにまで、本当にありがとうございます……………、」
「別にいーぞ?」
 見下ろす彼のまえで、

 ギュッ――…

 ナナは拳をかためた。



 そして薔を見上げながら、

「わ、わたしなんて、ブスとか言われてるんで、不釣り合いとか、それ以前の、問題です……………」

 消え入りそうな声を、振り絞った。



「だから、あの、もう迷惑はかけたくないんで、いっそ構わないでください………………」
 つづけた彼女に、

「ならお前、」

 薔は問う。




「なんで泣いてんだ?」






「いや、あの、見間違いです…………泣いて、なんか………」
 それ以上、言葉は出てこなかった。
 ナナはうつむき、ポロポロと涙をこぼす。


「うっ…………うぅっ……………」
 肩をふるわし涙を拭っていると、


 スッ――――――…


 薔はベッドのまえに座り、伸ばした手で彼女のあたまを撫でながら言いました。





「お前はかわいいよ。」






 ナナの涙がピタリと止まる。
「え?えと、わたし、あの、“かわいい”という言葉を、辞書で引き直すべきですよね?」
「んな必要ねーよ。」

 ほおを濡らしていた涙をゆびで拭うと、


 チュ――――――…


 ナナを引き寄せ、薔はやさしくくちづけてきた。



「ふぅ……っ………………」
 かがむような体勢で、ナナはやわからなくちびるを、感じていた。



 長くもなく、ディープでもないキスだった。


 このときは。




 くちびるを離すと、ほそめた瞳で薔はナナを見つめる。



「ナナ、」

 またしても、くちびるが触れ合いそうな距離で。





「乗っていーか?お前のベッドに。」

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