※第12話:Game(is Love?).10




 (いやぁあ―――――っ!!)
 こころで絶叫し、顔は真っ赤でのけぞるナナ。



「そんなに嫌か?」



 しかし意外にも、そう問いかけると薔は、静かに手を落とした。




「あ、あの……………、」
 あまりにも予想外すぎて、あたふたするナナ。

「安心しろ。もうおかしなことはしねーよ。」


 薔はまた、いつものようにふんぞり返ってはいたが、


 (わたしの、見間違いじゃないよね………?)
 ナナは、思った。


 さっきのこのひとの表情、もんのすごくかわいかったんですけど…………!

 せつないというか、拗ねてるとでもいうのか…………。




 ナナはドキドキしまくっていたが、薔はベッドからおりると、服を着ようとした。

「ま、待って、ください……………、」

「なにをだ?」

 薔は、振り向きもしない。




 (きっと、傷つけちゃったんだな…………。)
 ナナは、手を握りしめる。

 そしてベッドからほぼ、飛びおりるくらいの勢いでおり立ち、


 ギュッ―――――…


 もうなにも隠しはせず、うしろから薔に、抱きついたのであった。





「まだ、震えてんな。」
 まわした手に、手が重なる。

「もういーぞ?お前、今日は帰っ」
「大丈夫です…………!」

 今回二度目、話遮りましたね。


「わたしは、大丈夫です………。それより薔さんが、大丈夫じゃないです…………。」
 ナナは、消え入りそうではあるが、はっきりと想いを述べた。



「ナナ、」

 重ねた手が、あつい。




「戻るか?ベッドに。」





 そのまま無言で手を引かれて、またしても、ふたりはベッドのうえにいた。
 ナナはもうなにも、隠してはいなかった。



「キスしても、いいか?」

 そっとゆびさきが、ほおを撫でる。

「はい…………、」

 うつむいていたナナだが、かき抱くようにつよく抱き寄せられ、激しく荒々しく、くちびるを奪われた。

「………っ……ン……………」
 ナナもきつく薔へと抱きつき、ふたりは狂ったように、舌を絡めあう。

「は……っ………、あ…ンっ…………」
 もはや、呼吸さえ、邪魔になる。
 そのためにくちびるを離す時間が、とてつもなく惜しい。



「は…あっ……………」
 どのくらいキスに夢中になっていたかはわからないが、くちびるを離したとき、ナナは肩で息をしながらかなりぐったりしていた。



「血、飲むか?」


 くちびるをゆびさきで愛撫され、ひどく近くで見つめあい、

「痛い、ですよ?」
「構わねーよ。」




 肌を重ねて、ゆびを絡めて、ふたりはベッドへと倒れ込んでいった。

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