※第12話:Game(is Love?).10





「ナナ?」
 抱きついたまま、名前を呼ばれる。


 ナナはもう気持ちを押さえきれず、いったん離れからだを起こし、


 チュ――――――…


 薔のほおを挟み込むようにして、キスをしていた。




 ゆっくりとくちびるを押し当て合っていると、薔はナナの腰に手をまわし、彼女を抱き寄せた。




「血液だけなら、こんなこと、しませんよ?」
 くちびるを離し、ナナは力強く告げる。


「だから、もう、あまり、おかしなことは、今日だけでもいいんで、言わないでください……。」
 そして再び、抱きつく。




「お前、」
 そのあたまを撫で、薔は言った。




「初めて、キスしてくれたな、」




 え………………?

「そ、そうでしたかね?」
 ナナは起き上がり、薔を見た。
「積極的には、な。」




 そっと、ゆびが、髪をすこしだけ束ねた。





「お前、ちから抑えてるんだったな?」
 突然、話が切り替わった。


「え?あ、はい…………」
 なんでそんなこと聞くんだろう?

 と不思議に思ったナナに対して、薔は言った。









「今夜だけ、見せろよ。お前の全力を。」









「えぇえ!?なぜにですかぁ!?」
 驚くナナ。



「見てーんだよ。」



 正面から髪をかき分けられ囁かれ、ナナは嫌とは言えなくなってしまった。




「ちょっと待ってください……!いま、指輪外すんでぇ……………!」
「んな効果があったのか?それは、」


 ナナはゆびに手をやり、指輪を引き抜こうとしたのだが、

「あれ?抜けない。」
 指輪は、びくともしなかった。

「うーん………、」
 力ずくで抜こうとするナナの、

「貸せ。」
 手をグイと引っ張り、

 クプ――――――…

 薔は指輪がはまっているゆびを、自身のくちに咥えた。




「あ、の……………」
 呆然とするナナのゆびから、ゆっくりとくちびるを這わせていき、抜ききったときには、指輪は外されていた。


「おぉ!?」
 ゆびを見つめるナナの顔を引き寄せ、薔はくちづけてきた。

「ン……っ…………」
 くちびるが押し開けられ、

 カラン―――――…


 ナナのくちのなかに、外された指輪が入ってきた。




「抜いたぞ?」





 ナナは指輪をくちに含んだまま、ボーっと薔を見つめていた。


「飲み込むといけねーから、はやく出せ。」


 しかし、うまく状態が把握できずにいるナナは、


「仕方ねーな。」


 と呟いた薔に、くちのなかにゆびを入れられ、指輪を引き抜かれた。




 その指輪は、ナイトテーブルのうえに、そっと置かれた。




「これで出るか?牙。」

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