※第12話:Game(is Love?).10





 無言で歩いたが、いつもとひとつ違っていたことがあった。

 ふたりは、手をつないでいた。


 ナナは心底ドキドキしたが、薔は涼しげな顔で、堂々と歩いていた。





 20分ほど歩き、薔のマンションに着いた。


 そしてここまで、ひとときも、ふたりは手を離しはしなかった。






 ガチャ――――――…

 ドアを開けられて、ナナが先に入った。

 静かな空間のなか、リビングで花子が寝ていた。
 月明かりは、窓から差し込む。
 幻想的は、シルエットか。




 (おぉ!花子ちゃんの寝顔、かわいいなぁ!)
 花子は、花子用のソファと思われる場所で、すやすやと眠っていた。


「なにしてんだ?」


 花子に見とれていると、ナナはいつものように、とつぜん声をかけられた。


「あ、花子ちゃんが、あまりにもかわいいので…!」
「当たり前だ。」
 ナナは、声をできるだけひそめていた。


 (それにしても、花子ちゃんは美人さんだなぁ!)
 ナナが花子の寝顔を食い入るように見つめていると、

「おい、」

 薔が彼女を呼んだ。


 見ると彼は、リビングの奥のドアのまえに、立っていた。


「はやく行くぞ。」


 ドアに手が、そえられる。


「行くとは、どちらへ……………?」


 キョトンとするナナは、言われました。






「寝室に決まってんだろ?」








 ナナはこころに言い聞かせた。
 (花子ちゃんが、寝てらっしゃるからだよね!きっとそうだ!なにもないよ!うん!)

 あとをついて行くと、奥の左側の部屋に、たどり着いた。

「入れ。」

 うながされ、ナナはついに、薔の寝室へと、足を踏み入れたのであった。

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