※第10話:Game(+Esthetic).8




 そう。
 ここで明かしますが、ナナは処女です。
 387歳にして処女です。
 ヴァンパイアになった時点にて、彼女は処女で、ヴァンパイアの歴史においても、セックスはいっかいもしておりません。
 なぜならいままではずっと香牙をつかっていたため、人間は思い通りになりすぎて、彼女を興奮させることも、欲情させることもできなかったからです。





「躾甲斐があるにも、ほどがあんな。」







 グッ―――――――…

 なんと薔は、コードを自身のちからでほどいてみせた。

「きゃあ――――――――っ!!」

 必死に叫ぶナナのまえで、ゆっくりと彼は起き上がる。


「あー、まだ1時間は残ってんな。」

 シュル―――――…

 そして目隠しをはずして、またがっているナナの腰に手をまわした。





「セックスはまただ。今日はお前に、ご褒美をやんねーとな。」

 え――――――…?

「お前、」

 ナナの目のまえにて、セクシーな表情で薔は語りかける。

「映画は好きか?」
 ……えぇぇえ!?

「いや、ほとんど見ません。」
「だろーな。」

 …………………おおおっ(泣)




「やたら耽美な映画がある、少し再現させろ。」
 ………………たんび?

「風呂に薔薇の花びらは、浮かべられねーからな、ベッドでヤるか。」


 ナナはその映画、むしろ映画自体をほとんど観たことがないので、意味がわからず唖然としていた。

 するといったんナナから手を離した薔は、自身でシャツを脱ぎ捨てた。


 (わぁあ………!またしても、キレイなおカラダがぁ………………!)

 目をそらしたくなるほど、見ていたいんだけどね!


「まずはキスするぞ。」
「えぇぇえっ!?さっきいっぱいしましたよぉ!?」

 ギュッ―――――…

 上半身ハダカになった薔は、ナナをつよく抱き寄せた。

「足んねーよ。」


 チュク―――――…

「ンっ…………!」
 本当に、舌先まで絡め合った、ディープなキスが迫りくる。

「んン……っ…、は、あ…っ……………」

 やたらチュクチュクと音を立てたキスに夢中になっているうちに、


 ドサッ―――――…


 ふたりしてベッドに倒れ込んでいた。

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