※第10話:Game(+Esthetic).8
ホテルは、18歳未満はお断りだった。
しかしナナは実際には、387歳だった。
387歳と言うわけにはいかないので、サバだかなんだか読んで、二十歳だと言った。
嘘はまったくついていなかったし、むしろ長い年月を短縮しすぎてしまったくらいなので、控えめにもほどがあると思っていただきたい。
よって、ホテルの受付のおじちゃんはなんだか怯えてはいたが、嘘も隠しもいっそないので、部屋をとることができた。
2時間だった。
「なんだか、ベッドがおっきいですよ!」
ナナは、驚いていた。
「しかもひとつしか、ないじゃないですか!なんでですか!?気がきかないにも、ほどがありますよね!このホテルは!」
そして、彼女は、軽く憤慨していた。
「設備だかなんだか、悪すぎますよ!訴えてやりたいくらいで」
ぎゅっ…
するとうしろから、抱きしめられた。
(おわぁ!いつものようにすごくいい匂いなんだけど、どうなされたのだぁ!?)
「あ、あの……………、」
あたふたして話しかけると、
「ナナ、」
耳もとで、そっと名前を呼ばれた。
「今日は血液なしで、ヤんねーか?」
え―――――――…?
唖然としたまま、一瞬動きが止まっていると、
チュ―――――…
くびすじや肩に、キスをされた。
「ふあっ………、どう……したん…ですか………………?」
くすぐったいうえに気持ちよすぎて、ナナは震えた。
「あ……の……………、」
無言のままキスをされていたナナは、恥ずかしさだかなんだかから、とっさに薔をひきはがしていた。
「おい、」
「やめてください!」
そして大声で叫んだ。
「あ?」
「なぜにいつもわたしだけ、エッチなコトをされなきゃならないんですか!?恥ずかしいですよ、もう!」
シン――――――…
叫んだあと、薔はなにも言わなかった。
……………………はっ!!
(いいいいま、すごいことを言っちゃった気がしなくもないんだけど、どうしよう!?)
ナナは勢いあまって叫んではみたが、かなり後悔していた。
すると、
「お前、」
薔は言った。
「逆になりてーんだろ?」
え―――――――…?
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