第9話:Game(+Fete).7
「あのぅ………、」
「なんだ?」
ナナはお姫さまだっこされたまま、薔に話しかけた。
「せっかく、特訓までして、励ましてもくださったのに、なにもできなくて、ごめんなさい…………。」
「あ?」
薔はナナをお姫さまだっこしたまま、堂々と歩きつづけた。
「お前にしては、よくやったじゃねーか。」
「でも……………」
まさしくただいま泣きそうなナナだが、このつぎの言葉がなみだをとどめた。
「結果は出てんぞ?見えようと、見えなかろーとな。」
え――――――――…?
のちにおそらく、意味はわかりますよ。
「ところで、このままどこへ行くんですかぁ?」
「とりあえず、人目の及ばねーとこだな。」
…………えぇぇえっ!!
「エッチなコトは、やめてくださいよぉ!」
「俺がいつお前に、エロいことをしたんだ?」
けっこういつもだよ―――――――っ!!
まさしくこれは、少女漫画?
漫画じゃないよ、漫画ではね。
そして、なんだか恋愛チックな逃亡?を繰り広げたふたりの去ったあとの体育館では、先生や生徒たちがつぎつぎと、投票用紙に記入をし、投票箱へと入れていた。
ようやくして、時間をすこしかけて、学校を休んでいた生徒及び、ナナと薔を除いたすべての学校メンバーが、投票を終えた。
そして、休憩時間をもうけ、盛り上がりを生かすために、生徒会役員一同と先生方で、即日開票をしたのであった。
『あ〜。みなみなさまぁ。集計が終わったよ〜。校長先生だよ〜。』
校長先生だということは、嫌でもみんなが知っていた。
そしてもう、校長先生のでしゃばり具合に、敬意すらおぼえるようになっていた。
『なんかここまできて、すんごいもの見ちゃったね〜。だれか、ビデオカメラ回してたひと、いない〜?もしいたら、先生にダビングさせてね〜。お願いね〜。』
……………はいぃ!?
『じゃあ、前置きなしにして、発表するね〜。』
校長先生はどうやら、前置きという言葉を辞書で引いたほうがよさそうだった。
『まずは、イケメン・コンテストの優勝者から、発表しちゃうね〜。』
ゴクリ。
『エントリーNo.9!』
このとき、林夏川 広志先輩は、おのれの勝利を確信した。
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