第9話:Game(+Fete).7





 いよいよ、3日目、つまり最終日、そして、メインイベントの開催日がやってきたのであった。


 メインイベントに向けて、けっこうみんなはテンションが上がっていた。

 開催時刻は、13時ちょうど、そして第一体育館に自身の椅子を持ち込んで、盛大に開催される予定だった。




 お昼休みを終えてすぐのイベントに向け、ほとんどの生徒は椅子を持って体育館に集まっていた。


 ドキドキドキドキ

 ナナはやはり、ドキドキしていた。

 (どうしよう………!もうあと20分しかないよぉ!さっきこけしちゃんがわざわざ描きおろしのイラストまでくれて元気づけてくれたけど、やっぱりドキドキするし、緊張するよぉ………………!それに、あのイラストのためにまた、神棚をつくりたい気分だよ………………!)

 ずっとそう考えながらうつむいていたので、



「あれ………………?」



 気づくと教室には、誰もいなくなっていた。




「誰もいないよ、行くしかないよ………………」

 ナナは椅子を持って、立ち上がった。





「おい、」





 と同時に声をかけられた。






 見ると、開けた扉に左手をかけて、右手はポケットに突っ込んだまますこし足を組んで、薔が立っていた。


「びっくりしましたよぉ………………!もう、だれもいないかと思ってたのでぇ………………!」

 とっさに椅子を落としたナナは、驚いてびくついた。

 しかし堂々とした薔に、

「こっち来い。」

 と命じられ、

「はい………………!?」


 メインイベントよりの緊張かと思われるほどの緊張感で、近づいていった。



「な、なんですか……?またエッチなコトですか……………?」

 恐る恐るナナが、尋ねると、



 シュッ―――――…



 薔は右手を出して伸ばし、ナナのリボンをゆるめたのだ。


 (ひぇぇぇぇぇえっ…………!!)

 なにをされるかと、期待だかなんだかわからない気持ちをいだいていたナナだが、彼はそれ以上はゆるめなかった。



「色気はここまでだな。」



 え―――――――…?



 唖然とするナナ。



 の、


 ほおに触れて、



 チュ



 またしても薔は、短くもやわらかいキスを、ナナのくちびるに落としたのだった。







「俺がいるからな、ナナ。」

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