※第8話:Game(&Fete).6




「あのぅ……………」
「乗れ。」

 椅子に座ったまま、薔は命じた。


「えぇぇぇえっ!?なにをおっしゃるんですか!?」
「なら言い換える、またがれ。」


 何度目かの唖然(プラス赤面)。


「まだ服着てんだろ?乗れ、はやく。」




 (うぅうっ……………っ)

 やっぱり逆らえないので、まぁ当たり前だが、ナナは椅子に座っている薔のうえに、またがるようにして乗った。

「肩に手を置け。」
 言われるままに薔の両肩に、ナナは両手をそれぞれ置いた。



 ギュッ―――――――…


 すると薔は、左手でナナの右手首を掴み、右手で彼女のほおに触れた。





「吸血行為らしく、イくか。」









 少しだけ見上げられながらナナは、くちびるにそっと触れられる。


「お前の牙を、見せろ。」

「えぇっ!?イヤです!恥ずかしいです!」
「なら余計、見たくなるだろ?」

 ゆびさきがすこし、くちびるを引きはがす。


「ちょっとしか出せませんよぉ。今、薔さんのためにおさえてるんでぇ。」
「あ?」







 見上げる瞳は、有無をいわせずセクシーだった。





「はやく出せよ。」














 精神を集中させてちからを込めると、先端だが、牙があらわれた。
「開けて、もっとよく見せろ。」

 震えるくちびるを開けてゆくと、


「やたら尖ってんな。」


 プツ―――――――…




 薔はナナの牙を、ゆびにさした。





 ツ――――――――…

 ひとすじに流れてゆく血液。


「またおゆびから、血が流れてますけどぉ!」

 ナナは驚愕のあまりおりようとしたが、


 ギュッ


 さらにきつく、引き寄せられた。


「いきなり動くな。当たるぞ?」



 ………………はい?



「安心しろ。今日はゆびじゃねーよ。」

 囁いた薔は、ゆびからこぼれる血液を、くびすじに塗りつけた。




「ここでヤれ、今日は。」

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