※第8話:Game(&Fete).6




「おーい、みんな!今日は大発表があるぞ〜!」
 教壇につくと、吉川は声を張り上げた。


「実はな、土曜日に、秘密会議が行われてな、今明かした時点であれ、秘密じゃなくなっちゃったんだが、そこで決まった内容を発表する!」


 …………………はい?


 たったひとりを除いて、生徒たちはみな息をのんだ。







「今年の学園祭の、メインイベントについてだ!」





 ゴクリ。















「…――というわけで、みんな、配ったプリントは届いたかぁ?」

 届けられた、プリント。



 そこには、





『第32回 “夢現祭”

 ・メインイベント

 イケメン・コンテスト
    &
 ミス・コンテスト

        開催!!』


 と、線がかぶりすぎて読めないくらいの、やたら太い文字で書かれていた。


 そして、開催日時や参加方法などが、ゴシック体の文字で記されていた。




 おぉお〜!!




 みんな、けっこうテンションが上がった。
 あ、たったひとりを、除いてね。



「そこにも書いてあるが、参加資格は、立候補または推薦だ!」

 おぉお!

「だから、みんな!」



 吉川は、声をひそめて言った。








「だれか勇気振り絞って、あの子を推薦してくれない?」















 サァ―――――――…

 教室中が、静まり返った。


「さいわいにも今、ホームルーム中なのになんか聴いてるし、すごいチャンスだと思うんだよね。」


 吉川は、明るく言った。


「せ、先生…………。」

 ひとりの生徒が、手をあげた。
 勇気ありすぎるなキミ!と思ったみんなのまえで、その生徒は、

「それじゃあ、学園祭ではなくて、逆にスプラッタ劇場を垣間見ますよ………………?」

 と、震える声で申したてた。


「だ、だいたい、これ、イケメンとミスとありますが、とらえようによっては、あの方、どちらでもきっとあからさまにトップになれるんで、どっちに推薦したらいいんですか………………?」
「まぁ、それは、一理あるんだかないんだか…………、」






「先生!」


 このとき、手をあげたのは、まさしく現在小麦色の、野球少年・黒熊くんだった。




「わたくし、黒熊幸明(ゆきあき)は、どちらかというとイケメン・コンテストのほうに、このクラスのくれな」
「おい、」



 ……………………はい?



「それ以上ほざけば、あきらかにブービーにすらなれねぇキサマを、いっそ俺が責任持って推薦してやる。」

 ヘッドフォンをつけて瞳を閉じたまま、とらえかたによってはどちらでもトップのひとが言った。


 ………ひゃぁぁぁぁあっ!!


 ………どの時点から、聞こえてました……………………?



 黒熊くんは、またしても顔真っ青になり、口をパクパクさせて席についたが喜んではいた。

[ 86/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る