※第8話:Game(&Fete).6
日曜日。
ナナは、父と、お薬のために、キッチンに神棚を増設した。
ナナ父は、娘と日曜大工ができることに感動しすぎて泣いていた。
そしてナナは、その涙があまりにも神棚のために用意した木材を濡らすので、「いっそ泣きやんでください」と言った。
するとナナ父は、さらに泣いた。
そして、ナナ母のギックリ腰は、選びぬかれた湿布薬の甲斐あって、見事なまでに回復していた。
ただ、あまりにも帰りが遅かったので、理由を聞いたら「逆に言えません」と答えたナナは、逆に怒られた。
そして、月曜日はやってきた。
一週間はめぐっていき、繰り返しながらもありとあらゆるものを成長させてゆく。
(やぁあ、神棚って、素晴らしいものだね!お父さんの涙がやたら落ちたことには、憤りを感じちゃうんだけど、手伝ってくれたんだし、ま、いっか。)
と、考えながら、ナナはいつもどおり、机に突っ伏していた。
そのとき、
「ナナちゃぁん。」
かわいらしい声がした。
ガバッ!
ナナが起き上がると、
「おはよぉぉうぅ。」
またしてもニコニコ顔の、こけしちゃんが目の前に立っていた。
「こけしちゃーん!!」
ナナは思わず叫んだ。
「おはよう!こけしちゃん!やっぱりアナタは、本当にかわいいよぉ!わたしはアナタに、すごく会いたかったよ!!二番目に!!」
「エヘヘぇ。」
二番目の事実をやさしさでかわし、こけしちゃんははにかんだ。
「わたしはね、金曜日のお昼休みに、もっともアナタに会いたかったから、だれの許可も得ずに探しちゃったくらいなんだよぉ!」
「えぇ?」
お昼休みの思い出にすら、こけしちゃんはほほえんで驚いた。
「なぜにあの日、学校を休んだみたいなのかな?」
ナナがこけしちゃんの手をとって尋ねると、
「あのねぇ、同人誌にこころうばわれてたのぉぉ。」
………………どう?
「ど、“どうじんし”って、なに?」
「今度貸してあげるねぇ。」
……………えぇえ!?
また、いいの!?
それは、貸せられるものなんだね!!
「ありがとう!!本当にこけしちゃんは、やさしいね!!」
「そんなにあたし、やさしいかなぁ?」
ナナはこけしちゃんの手を、つよく握りしめた。
「うん!やさしいよ!潜在意識とかいうやつを含めると、アナタのやさしさはこの宇宙で堂々の第二位だよ!!」
「ほんとぉぉにぃ?」
またしても堂々の第二位の真実に、こけしちゃんはすこし飛び跳ねた。
「じゃあぁ、選りすぐりの18禁を、持ってきてあげるねぇ。」
………………じゅう?
「“じゅうはちきん”て、なに?」
「見ればわかるよぉぉ。」
そうなんだ!
それって、見えるモノなんだね!
「じゃあぁあたしぃ、アブノーマルなイラスト描くから、席に着くねぇ。」
「うん!」
ナナは肝心なところで、こけしちゃんに対してのツッコミは見落とす。
「またねぇぇ。」
こけしちゃんはニッコリと手を振って、席へ戻っていった。
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