2 アンケートの内容は学校でいじめがないかとか、学校は楽しいかとか在りがちなこと。態々折原くんと話すこともないから、アンケートにだけ集中して黙々と書いていく。 「ねえ、響ちゃん」 …今、何か聞こえた?聞こえてないよね。気の所為だよね。 「ねえ、聞こえてる?」 …気の所為、気の所為。 「あっれー、無視?酷いなー」 大体、彼が私に話し掛ける理由がどこにある。 「―――襲うよ」 『あはは、何か用かな?折原くん』 「良かった、聞こえてないのかと思った」 うん、いい笑顔。折原くんが不吉な言葉とか…、あはははー。 「終わりそう?」 『うん、後少し』 「そう」 はい、会話終了ー。そうそう、だから無理に私に話し掛けることないんだよ、折原くん。またアンケートに向かう。 「響ちゃんの手ってさー、綺麗だよね」 『―――ッ!』 行き成りの折原くんの発言に私は椅子からずり落ちそうになった。 『―――何、行き成り』 「いや、素直な俺の感想」 『そんなこと云われたの初めて』 「じゃあ俺が響ちゃんの初めての相手だね」 その発言は如何わしい。だけど彼は気にせずに私のシャープペンを握っている手を掴んでまじまじと見詰めた。 きっと彼は、 (私をからかっているんだ。うん、きっとそうだ。) [しおり/戻る] ×
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