君おもい | ナノ



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アンケートの内容は学校でいじめがないかとか、学校は楽しいかとか在りがちなこと。態々折原くんと話すこともないから、アンケートにだけ集中して黙々と書いていく。
「ねえ、響ちゃん」
…今、何か聞こえた?聞こえてないよね。気の所為だよね。
「ねえ、聞こえてる?」
…気の所為、気の所為。
「あっれー、無視?酷いなー」
大体、彼が私に話し掛ける理由がどこにある。
「―――襲うよ」
『あはは、何か用かな?折原くん』
「良かった、聞こえてないのかと思った」
うん、いい笑顔。折原くんが不吉な言葉とか…、あはははー。
「終わりそう?」
『うん、後少し』
「そう」
はい、会話終了ー。そうそう、だから無理に私に話し掛けることないんだよ、折原くん。またアンケートに向かう。
「響ちゃんの手ってさー、綺麗だよね」
『―――ッ!』
行き成りの折原くんの発言に私は椅子からずり落ちそうになった。
『―――何、行き成り』
「いや、素直な俺の感想」
『そんなこと云われたの初めて』
「じゃあ俺が響ちゃんの初めての相手だね」
その発言は如何わしい。だけど彼は気にせずに私のシャープペンを握っている手を掴んでまじまじと見詰めた。

きっと彼は、
(私をからかっているんだ。うん、きっとそうだ。)

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