私の名前を呼んで呼び止めようとする黄瀬くんを尽く無視する。その度に彼は唇を強く噛んで、泣きそうな目で此方を見る。それにごめん、と心の中で謝った。だけど、黄瀬くんの所為で噂になってるんだよ、私達。黄瀬くんがそんな態度とるから、怪しまれてしまっている。今までだって変な誤解されてたけど、今回のことで滑車が掛かった。それを少し煩わしく思う。
「癒月っち、」
黄瀬くんの呼び掛けに答えることなく他の子の元へ向かう。黄瀬くんの手が空を掴む。その手が仕方なくゆっくりと下に下ろされる。早く彼の恋心が時間と共に消えてしまえばいいのに、

片恋の寿命
(彼の泣きそうな目に気付かないふりをした)


title//花畑心中

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