いきなりの雨で身体が濡れてしまったのでシャワーを浴びた。そのまま脱衣所で下着を付ける。そのときに全身を映す鏡が見えたので頬の腫れを確かめた。腫れは段々と引いて来ている。このままだったら後一日二日もすれば湿布もいらなくなるだろうか。
「腫れは引いて来てるみたいだな」
『―――!?』
征十郎、そう呟いて慌てて胸と下半身を手で覆った。そんなことしても見えてしまうと思うが。下着を付けていて良かったと思った。それにしても女の子のシャワー中にどうして入って来るんだ。
『何で此処に…!』
「癒月がいるかと思って」
『だからって…っ。取り敢えず出てってよ!』
「子供の頃は一緒に入ったりもしてただろ。今更、」
『そう云う問題じゃない!』
渋々脱衣場を出る征十郎を見て溜め息を吐いた。征十郎は常識がなさすぎる、と思いながら。

『馬鹿征十郎』
「いい加減機嫌を直してくれ」
あれからしっかりと服を着て私の部屋に向かった。征十郎は私のベッドに腰掛けて脚を組んでいた。それが様になってるのが凄くむかつく。征十郎の隣に腰掛けて膝を抱えた。
『…馬鹿』
「はいはい」
数回頭をぽんぽんと叩かれる。その宥め方が更にむかつく。
『征十郎何て嫌い』
「嘘吐き、」
何でも知っているような目が私を見詰める。征十郎の赤い瞳の中に私が映る。
「俺から離れられない癖に、嫌い何て云ってもいいのか?」
『…性格悪い』
不貞腐れてそう云えばくつくつと喉の奥で笑った。

バスルームラプソディ
(どんなに癒月が俺を嫌っても俺が癒月を手放すことは有り得ない)


title//花畑心中


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赤司くんにはべたべたに甘やかされたい

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