黄瀬視点

幾らシュートしても赤司っちをドリブルで抜こうとしても出来ない。敵わない。どうしたら勝てる?どうしたら赤司っちに勝つことが出来る?必死に脚を動かす。ボールを追い掛ける。シュートを放つ。赤司っちのシュートをガードする。だけど敵わない。点差が開いていく。
「は…っ、はあ!」
息が乱れる。悔しい、悔しい!赤司っちは息を切らしている俺を冷めた目で見詰めている。それが余計にむかつく。悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。俺は赤司っちには勝てないのか。むかつく。その余裕そうな顔がむかつく。暗に弱いと云われているようでむかつく。
「この程度なのか?お前は」
鼻で笑われて頭に血が上った。俺は赤司っちの云うこの程度なのか?違う。俺は赤司っちに勝つ。絶対、絶対勝つ。彼がゴールに向かってドリブルをする。それを真正面から受けてたつ。さっきまでの俺だったら抜かれていたかもしれない。けど、
「…っし!」
赤司っちのボールを奪って体勢を立て直しそのままゴールまで走ってダンクを決める。思わずガッツポーズ。それだけ赤司っちからポイントを獲れたのは嬉しい。赤司っちは眉を潜めて此方を睨み付ける。
「…はは。一泡吹かせてやれたっスか?」
「…ああ。だが時間切れのようだ」
彼の視線がタイムを見る。少しして高い音が体育館に響き渡った。試合終了のブザーだ。
「は…、俺の負けっスね」
癒月っちのことを諦めるなんてしないけれど、いや出来ないけれど。負けは負けだ。悔しいもんは悔しい。外では大粒の雨が降り始めていた。

哀しみを含んで雨が降る
(まるで空が泣いているようだ)


title//花畑心中

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