02 : 触れて欲しいのに 放課後、国語の教科室で先生の手伝いをする。銀八先生は部屋にあるプリンターでプリントを印刷して私はそれをホチキスで留めていた。 「ほれ、追加」 『まだあるんですか?』 「そうだな、そろそろ休憩にすっか」 銀八先生はそう云って近くにあった冷蔵庫からプリンを二つ、それといちごミルクをコップに注いでくれた。 「ほら、」 『わーい、ありがとうございます』 プリンの蓋を開けてスプーンで掬い口に入れる。口一杯にプリンの甘さが広がった。 『うーん、美味しい!』 「…ホント、現金な奴」 『そういう銀八先生だって甘いものに目がないでしょ?』 「ま、そうなんだけどな」 銀八先生も目を輝かせながらプリンを口の中に入れる。 「あー、美味ェ」 『ホントですね』 「…さくら、口の横にクリーム付いてる」 『え!?』 顔を急いで手で触る。そんな私を見て銀八先生は笑った。 「此処だって」 『―――…!?』 銀八先生の指先が私の唇の横を掠める。先生の手に付いたクリームは先生の口に含まれた。カアアッ、と頬が染まるのがわかった。銀八先生も自分が何をしたのかわかったのか頬を真っ赤に染めた。 『す、みません』 「お、俺の方こそ、なんか、わ、悪ィ」 触れて欲しいのに (先生に触れられた口端が熱い) [しおり/戻る] ×
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